エンジンよ、小さくな〜れ
問:車やバイクは非常に多くの部品が組み合わされて出来てますが、その中で非常に重たい物は何?
答:エンジン
いつものように、すぐに答えを出してしまった(笑)。
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燃費は、一般的に車両重量が軽いほど良く、重いほど悪くなります。
重いものを動かすには大きなパワーがいります。そのパワーを得るためにはたくさんのエネルギーが必要だからです。
人間の体も同様で、体重の軽い人はご飯の量が少なくても十分活動できますが、
体重の重い人はご飯をいっぱい食べないと空腹で辛くなります。僕のように。
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心臓部に当たる、エンジン。動力の源、エンジン。
そのエンジンが車両の中で名実ともに大きなウェイトを占めています。
原付だと、エンジン+駆動系でも20kgくらいだそうですが、
大型バイクになるとエンジンだけで100kgくらいになるそうです。
(そういや、今は亡き「相棒」のエンジンのオーバーホールをしてもらったときは、エンジンが重たく、2人がかりで行ったと言ってたな…。)
小学1年生くらいの子どもと、中年デブの僕…を比較してもらえれば、その違いは歴然ですよね。
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ひとつの例として挙げると、
ホンダのステップワゴンって、モデルチェンジして車体サイズはそのままに
排気量は小さくなっていること、ご存知ですか。
いままでエンジンは2000cc/2400ccだったのが、1500ccに落とされています。
これをダウンサイジングと言います。エンジンの小排気量化です。
車の世界では殊にもてはやされています。
ただ これだとパワーも一緒に落ちてしまいますので、
その分をターボで補い遜色無くする…と言うのがダウンサイジングの主流です。
ステップワゴンもNA(自然吸気エンジン)→ターボエンジンになりました。
ターボといえば、90年代中頃までのスポーツカーや660ccで非力な軽自動車によく搭載され、
エンジンに強制的に多量の空気を送り込み(「過給」と言います)、
高回転でどっかんパワーを生み出すためのものでしたが、
過激な走りと引き換えに燃費を著しく悪くしてしまい、いつの間にかその姿を見なくなりました。
…っていうイメージが中年以降の人たちにはあるでしょうが、
今のターボはエンジンの燃焼効率の向上と燃費を稼ぐ目的で使用され、
低回転で十分なパワーを生み出し、走りもマイルドになっています。
ダウンサイジングには別の目的があります。
そう、ガソリンエンジンの排気量で税額が決まる自動車税が抑えられる…という点です。
上記のステップワゴンの例だと、
44500円(2400cc)/39500円(2000cc)→34500円(1500cc)になるんですよ。
走りはそのまま 脱税 節税。おトクですやん。
トラックの世界ではダウンサイジングがより著しく、
2000年ごろの排気ガス規制前の4トントラックといえば7000ccのディーゼルエンジンで黒煙を吐くのが主流でしたが、
今では4000ccのディーゼルターボで、かつての2トントラックに搭載されていたものよりも排気量が小さくなり、
排気ガスも浄化装置がつけられキレイになりました。
2トントラックだと5000ccディーゼル→3000ccディーゼルターボにダウンサイジングされています。
トラックなどの貨物車の自動車税は最大積載量によるため、ダウンサイジングは減税目的ではありません。
こちらはエンジンの軽量化が主な目的です。
大型車になると重量が1トンにもなるエンジン。
免許制度により、車両総重量(車両重量+乗員+最大積載量)が定められているため、
エンジンを軽量化することで、その分 積載量を少しでも増やすことが出来ます。
ただ、こちらはダウンサイジングが過ぎて、走りは悪くなっていますが。
バイクの世界ではダウンサイジングの声は聞きませんね。
きっと、バイクは排気量が命(だって、車名に排気量が入ってますやん(→コラム「名前にこだわり無し」))なので、
それを減らすなんて とんでもないのかも…。
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ちなみに、1000ccクラスのスーパースポーツバイクだとエンジンの重さが60kg程度、
一般的な400ccエンジン並に軽い車種もあるそうですよ。
技術の賜物でしょうが、その分、価格に大きく反映が…。