ハイスピード高速道路
「えいまる君、高速はお金払ってるんやから、
飛ばして走っても文句言われる覚えはないで」
友人「米(仮名)」のオッちゃんが、バイクに乗り始めたばかりの初々しい僕に
そう言い放ったのが脳裏に焼きついています。
それは違うでしょ…などと、当時10代だった僕にはとても言い返せるはずもなく。
あのころは、バイクと軽四は高速の法定速度が80km/hでしたっけね。
更にバイクは2ケツ走行も禁止でしたし(懐)。虐げられた時代でした。
それが100km/hに引き上げられたのは2000(平成12)年。
(ちなみに高速での2ケツが解禁されたのは2005(平成17)年(→コラム「高速2ケツ解禁プレゼント」))
バイクも車と肩を並べて同じ速度で走れるようになったあの時は嬉しかったですよ〜。
流れに乗って走っててバイクの僕だけがスピード違反で捕まることが無くなったと思ったら!!
そうこうしているうちに、ごく一部ではありますが、
一般道の制限速度が法定速度の60km/hよりも引き上げられはじめました。
僕の住まいの最寄りでなら、大津市のR161バイパスが、60→70km/h制限になりました。
こうなったのには、制限速度と実勢速度に隔たりがあり、かつ交通事故が限りなく少ない…という背景があります
(→コラム「ハイスピード一般道」)。
R161バイパスは名神の京都東IC〜北陸道の敦賀IC間をショートカットできるルートですので、
整備が進んでいて、見通しもよく、かなり飛ばせるんですよね、実際のところ。
こうなってくると、
高速道路だって同様に安全が確保できるところは制限速度を引き上げたらエエやん…
となるのは自明の理です。
で、こんなことになりそうです。
ここで冒頭の「米(仮名)」のオッちゃんの言葉を思い出してほしいのです。
高速では39km/hオーバーまでは
スピード違反で検挙されたとしても青キップで済みますよね。
だとすれば、160km/h近くで走ってもカネさえ払えば罪に問われないことになってしまいます。
だいたい39km/hオーバーが暗に「大したことない」と定義していること自体どうかしていますが。
制限速度の意味あらへんやん。
いまでも高級スポーツカーや高級セダンや高級巨大ミニバンやプリウスを操る
低級運転者が猛スピードで走ってる現実があるのに、
最高速度を引き上げたら、高速が警察庁公認のサーキット化しちゃうんじゃないの?
エエのん、それで?
それだけじゃないです。
排気量の小さいバイクは車体が軽いので、
飛ばすと 特に軽いフロント部分…つまりハンドルがブレて真っ直ぐ走るのにも難儀しますし、
そもそもそんな高速度を維持するにも振動が強くて疲れてしまいますよ。
緊急避難的に高速に逃げ込んできた150ccクラスのスクーターやオフロードバイクなら、
その速度まで到達も出来ないかもしれません。
バイクだけじゃないです。
軽四だって、非ターボ車ならエンジンの回転が上がりすぎて焼きつくかもしれませんし、
ダイハツのウェイクのように車高の高いのに幅が細いモデルだと、風圧でハンドルがブレたり車体も持っていかれますよ。
さらに、エンジン回転が上がる分、燃費も確実に悪くなります。
ニホンは環境立国じゃなかったんでしたっけ?
もし、制限速度が存在しないどっかの国のハイウェイのマネをしようとしてるなら、止めておいた方がエエと思うど。
ニンゲンの速度への欲望はとどまる事を知らんからね〜。
記事引用:毎日新聞 2016年3月24日付夕刊