殺スイッチ




おことわり:初出時のタイトル「エンジンを殺してみしょうホトトギス」よりCommonさんの付けたタイトルのほうが面白いので使わせていただきました。

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(出席簿で教卓をたたきながら)はいみなさ〜ん、えいまる君の意味不明シリーズが始まりましたよ〜。
あ、そこの隣の子と喋ってるキミ、そうキミやキミ、話を聞くときは静かにしようぜ〜。



今回のテーマは「バイクにあって車に無いもの」から選んでみました。


バイクの右ハンドルグリップのそばにある、赤いスイッチ
今日の主役です。
原チャなどのスクーターやスーパーカブなどの一部以外のバイクには必ずついているスイッチ、  


キルスイッチ


写真の画質がいつも以上に荒いのはピンボケしてるからです。面倒くさかったので取り直ししませんでした(笑)。



「普通二輪」以上の免許をお持ちの方なら使い方は知っているはずですが、
知らない方や使い方を忘れた不届き者のために解説をば。


普通、エンジンを止めるには、イグニッション(※「メインスイッチ」ともいいますが、キーを挿しているところ)をOFFにしますよね。
ところがバイクにはそれ以外にもエンジンを止める方法があります。


はいキミ!
「わざとエンストさせる」
そんな物理的な方法ではありません。


じゃあ、そっちのキミ!
「マフラーの出口を塞いで強制的にエンジンを止める」
キーシリンダーにドライバーを突っ込んだ盗難バイクじゃあるまいし。



はい正解。
キルスイッチをパチンとON→OFF(もしくはRUN→STOP)にするだけでエンジンが止まります。
すごく簡単です。



なぜこんなものがあるかというと、いつも言ってるようにバイクはコケる乗り物だからです。

不幸にも走行中にコケてしまったとき、運良くエンストしてくれたらいいのですが

・エンジンが止まらなかった場合、ギアが繋がっているとコケた状態でもチェーンやスプロケット、後輪は回り続け、
 それに巻き込まれるなどの二次災害が起こりえます。

・弾みでアクセルが回ってしまったら暴走の危険もあります。
・ガソリンがタンクから漏れ出し点火プラグの火花に引火したら…。



だから緊急時に瞬時にかつ容易にエンジンを止められる仕組みがついているんです。


そんなもん使わんでもすぐにイグニッションをOFFにすればいいやん、って?

普通、とっさにコケてるバイクのキーを左に回してOFFにするような複雑な動作は出来ません。
もし転倒等のはずみで手首を傷めたりしたらどうします?エンジン止められませんよ。
それに、イグニッションの付いてる場所はハンドル中央とは限りませんし。
アメリカンタイプのバイクなどのように側面にある場合など困りますよ。


僕は実際にそういう場面に何度も遭遇し、キルスイッチのありがたさをよく知っています。
念押ししておきますが、キルスイッチは車種を問わず右のハンドルグリップの付け根にありますからね。



キルスイッチの働きは、点火プラグとセルモーターへの電気の供給を止めるだけですので、
OFFのままでも灯火類は点灯しますが、
セルモーターは回らず、エンジンは始動しません
(重要)。

(※古い型のバイクはOFFのままでもセルモーターは回りますが、エンジンは始動しません。
また、キルスイッチの無い原チャは、ブレーキレバーを握っていないとセルモーターが回りません。暴走防止のため)


そういう意味でキルスイッチはバイクの安全装置ともいえます。


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僕は手元でエンジンを簡単に止められるキルスイッチのメリットを日ごろから活かしています。
アイドリングストップするとき。
いちいちイグニッションを回すことなく、ハンドルを握ったまま手軽にOFFにしてエンジンを止め、再びONへ。
そのまま右下のセルボタンでエンジン始動。
使うのは右手親指一本だけ。
手軽に燃料の浪費を抑えられます。
リンク先のコラムに「アイドリングストップはかえって不経済」と書いてるやろ、とのご指摘は無視いたします(笑)。



普通にエンジン停止のときも、キルスイッチでOFFにしてからイグニッションをOFFにすることで、
再始動時の安全と、知識の無いバイクドロ小僧に対する防犯性を高めています。


走行中にキルスイッチをOFFにしたらどうなるか試す、なんてことは
良い子の皆も悪い子の皆も絶対にやっちゃダメだよ!!



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しかし、ある日のこと。
こうした僕が良かれと思ってやっているクセ付けが悲劇を招いたのでした。

職場での昼休み。

「2相棒」と近くのスーパーまで昼ご飯の買い出しに出かけて、職場に戻ってきた僕は、
いつものようにキルスイッチでエンジンを止めた…まではよかったのですが、そこで「2相棒」に対する記憶が途切れています。

夕方、帰りがけに「2相棒」のキーを抜き忘れたことを思い出しましたが、
たびたびキーを抜き忘れていた僕はいつものことだと気軽に思っていました。


ところが「2相棒」の元に行き、そこで表情が凍りつきます。
確かにキーは挿さったままでしたが、ONのままで、メーターのデジタル表示は全て消え…、
バッテリーが上がっていました。

そう、昼間考え事をしながら走っていた僕はキルスイッチでエンジンを止めただけで
イグニッションをOFFにすることをも忘れていたのです。


慌てはしません。すぐに上司が車庫の奥からブースターを持ってきてくれました。
これを「2相棒」のバッテリーにつないで電力を供給してやればエンジンがかかります。
OKOK。


しかし、そのブースターが乗用車やバイク用の12Vではなくトラック用の24Vだったとは気付きもせず…。
配線をつなぎ終え、「2相棒」のセルモーターを回した瞬間、


バッテリーから真っ白な火花が散り、定格の倍の電圧がかかったヘッドライトの球は両目ともご臨終orz
エンジンは無事にかかったものの日が暮れて暗くなる中を無灯火で帰宅するハメになったのでした…。

これだけの高電圧をかけてしまったのですから、ほかの電装系にも大きな負担がかかっているはずです。
いつその症状が出るか分からずドキドキの日々を送らなくてはいけません…(涙)。


えいまる先生、生徒の失笑を買いながらとぼとぼと退場 (ノД`)