新・恋愛仕様




バイクで2ケツしたこと、ありますか?
僕は何度もしたことありますし、2ケツで長距離ツーリングも何度もしています。


僕はいつもバイクの2人乗りを「2ケツ」と書いていますが、今回は野郎臭さを捨てて上品に「タンデム」と表記しましょうかね。



ところで、「タンデム」とはどういう意味なのか、英和辞典で引いてみると…パラパラ…(手もとの「ライトハウス英和辞典」を繰ってる)

tandem;「(2人(以上)が縦に乗る自転車」とあります。

ニポンでは滅多に見かけない、2人乗り自転車のことですね。
あれって、操作が難しそうですよね。ホイールベースも長いのでコーナリングがしにくそうですし、
2人の息を合わして漕がないと上手く走らないし…。




  そもそも、現在(2008年7月)のニポンでは、
  自転車には16歳以上の人+未就学の幼児=2人乗りまでが認められているぐらいじゃないのかと…。
  ほとんど放置されていた、自転車に母親(父親)+幼児2人=3人乗りを条件つきで認める…なんて話が出ているぐらいです。

  ※後に認められました



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自転車の話は横に置いといて、バイクのタンデムです。
タンデムツーリングともなれば、一人で走っているときとは また違う楽しさがあるんですよね。



だけど、走りにはテクニックが要ります。
発進や加速は重たくなりますし、ブレーキの制動距離も当然伸びます。


一人で乗ってるときのように感覚でエンジンブレーキを多用すると、
車体が前に強くつんのめって乗り心地も悪くなります。


そして、コーナリングは協同作業!2人揃ってバイクと一体化しカーブに突っ込んでいく感じで体を傾けないと
バイクが思うようにバンクしません。



タンデムライダー(後ろに乗ってる人のことね)にとっては、コーナリング中は地面がすぐそばまで接近するので
怖くなり、カーブと逆の方向に体を傾ける人が居ます。


これをされると遠心力が大きくなってしまうので、
運転してるライダーは、1人で2人分以上の力を使って、力づくでバイクをバンクさせないといけなくなり、
とても負担になります。


二輪免許取得後1年間は2人乗りを禁止されてるのはそういうことです。


バイク歴がそれなりに長い僕ですら、
タンデム走行時は、気持ちよく乗ってもらうことと、「命をお預かりしている」と気が張るんですよ。

タンデムツーリング後、強い疲労感にその場に倒れこみそうなほどです。



それから、怖いからとライダーに抱きつくタンデムライダーもおられます。
これをされると、ライダーの体の動きを大きく制限されてしまい、非常に危険です。
心当たりのあるタンデムライダーの皆さん、それは今すぐ止めましょう。



これらを履行してくれるのは、男女を問わずバイクに乗ったことが無い人 or バイク乗りだけど、バイクの特性を理解せず
漫然と乗ってる人です。
なので、僕とタンデムする相手は、経験を積んでるバイク乗りに限定しています。

ま、彼女とタンデムして抱きつかれ、そのムネが当たって鼻血ブーこいてるドスケベ男は、
とっととコケて道路の藻クズになってしまえばいいと思います(妬)。



ベターなタンデムの方法は、片手でライダーの腰を軽くホールドし、
もう片方の手で、バイクのシートの端(または、タンデムグリップ)を握ります。

ベストなのは、ライダーにタンデムグリップのついたベルトを装着してもらうことなんですよね。
高速のタンデム走行が解禁されたおかげで、快適タンデムグッズは他にも色々あります。


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巷のバイクで、最初から2人乗りを意識して作ってるものなんて あんまり無いと思います。

そのまま鈴鹿8耐を走れそうなスーパースポーツバイクにもタンデムシートがありますが、
あんな丁稚ヨウカンみたいに ぺったんこなシートに誰が座るというのか。
ヒップ99cmのおれが座ったら、お尻がシートから大きくはみ出して痔になるど(笑)。
あくまでも緊急用やね。



しかし、出たんです。最初っからタンデム走行を意識したバイクが。
いつも大冒険をしてくれる、スズキが放ちました。250ccスクーター、ジェンマ


このネーミング、80年代に同社から発売されていた小型スクーターに付けられていたもの。
当時でも、古臭くてイケてない車名やなと思っていましたが、
謎の企業スズキは敢えて再びこの名を世に送り出たのです。

新しい名前を考えるのが面倒なだけだったかも知れませんけど(笑)。




具体的には、若い男女2人がタンデムすることをコンセプトにしています。どういう点が、と言うと、
【1】超ローダウン
【2】ほぼフルフラットなシート


【1】は、乗り降りしやすいという理由。
バイクは座席の下などにエンジン等を据え付けなくてはいけないので、着座位置がどうしても高くなってしまいます。
しかし、ジェンマは乗り降りしやすいようにシート高&車高を十分に下げるなど、思い切ったデザインを採用したため
バイクらしからぬ未来型スタイルとなっています。


【2】は、スズキのHPには「一体感を大切にするため」と書かれています。
大抵のバイクの2人乗りシートには段差があり
ます。
普通、タンデムシートのほうが高い位置に座ることになります。なので、「別々に乗ってます」的な感じがどうしても出てしまう。
多分バランスの問題でそうなってると思うんですけど、ジェンマはそれも取っ払いました。



バイクはスポーツな乗り物です。ライダーたちはバイクと一体化することで、より「バイク」となります。
そういう意味での一体感かと思っていたら、



新聞記事には「2人が密着して乗れるようにした」と書かれているではないか!!



そうです、スズキはタンデム走行で「抱きつく」というタブーを犯したのです。
ムネが当たって鼻血ブー上等!


コンセプトでキレイゴト言っておいて、本当はそれが狙いなのか、スズキッ!!
男のデザイナーや技術者たちが、夜な夜な鼻の下を伸ばしながら設計したに違いありません。

なんとエッチなバイクなんでしょ (´д`*)



かつて、90年代後半にホンダが発売した「クリエイティブ・ムーバー」四兄弟 (CR−V、オデッセイ、ステップワゴン、S−MX) のうち
「S−MX」は、ベンチシートがフルフラットになったり、絶妙な場所にボックスティッシュが置けたりで、
「恋愛仕様」なるセールスコピーで売り出していました。
またの名を「動くラブホ」。全くホンダらしくない車で、カタログ落ちして久しいのに、今でも人気があります。



新ジェンマは、それのバイク版です(キッパリ)。
スズキも常に新しいことに挑戦するメーカーだと思いますが、よもやソッチ方面に手を出すとは思いませんでしたわ。


もしや、こういった形で、絶滅危惧種に指定されそうなペースで減りつつあるバイク乗りを増やすのが、
スズキの真の目的
なのか?
それなら許してやる(笑)。


とにかく、街中で新ジェンマを見かけたら、どんなオトコが乗ってるか、しっかり観察してやれ!(笑)




参考資料:毎日新聞2008年7月8日付朝刊