N・L・☆



なんやこのタイトルは?
えいまる、GW明けでボケたんか?とお思いですかね?
いいえ、これでも正常です (゚Д゚#)


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今回はオートマ(AT)の話ですよ。


今でこそホンダがDCTという先端技術をバイクに持ち込んで、車のATのような自動変速ができるバイクが存在します。
スポーツタイプで跨るスタイルのバイクにもかかわらず、クラッチレバーもチェンジペダルもない。
だからAT限定(→コラム「オートマ限定」)で乗れちゃいます。



僕としては、両手両足を使い、体全体で操って走るのこそがバイクの醍醐味と思っているだけに、
ATのバイクはどこか違和感を覚えます。



F1など1000分の1秒を争うカーレースの世界では、
今や人間が操作するマニュアル(MT)より、コンピューター制御の方が優れているので、変速はATにし、
ドライバーはハンドルとアクセル・ブレーキ操作といったテクニック部分に集中できるらしいですけど…。

うーん、ゲーム感覚でどうも腑に落ちませんけど、現在はそういうことらしいですわ。




閑話休題。


実はバイクの世界でもその昔、ATにチャレンジしたモデルがあったんです。

やはり、ホンダです。
当時バイク界を席巻していたCB750のシリーズの一つとして「EARA(エアラ)というモデルがありました。



( (C) 本田技研工業)



1977(昭和52)年に登場。
ERA(時代)とAUTOMATICを組み合わせた造語で、
当時車に搭載され始めたトルクコンバータ(トルコン)式のセミATをバイクにも載せちゃったんですね。



今の車のATは自動変速の4〜7段変速が主流で、高級車だと10段変速(!!)を実現していますが、
EARAはたったの2段変速です(汗)。
とはいえ、スポーツタイプのバイクなのにクラッチレバーがなく、クラッチ操作から解放されるのですから、なんと先進的だったことでしょう!



ですが、ギアチェンジは必要でして。
そのギアレンジは、ニュートラル(N)、ローギア(L)、「☆(スター)レンジ」の3つとなっていました。

ローギアで発進し、ある程度速度が出たら「☆レンジ」に入れると、あとはアクセル操作のみで走れる。

イメージとしてはスーパーカブのトップギアが「☆レンジ」となったような感じですかね。
だから、純粋なATではなく「セミAT」というわけで。




ま、カブと異なるのはトルコンの変速能力のおかげで、
頑張れば☆レンジだけでゼロ発進を含めたすべての速度域をカバーできた点でしょう。
この速度制御方式は、いわゆる無段変速の はしりでもあったわけです。




証拠にEARAのメーターをご覧に入れましょう (どっかのサイトから拝借しました。スミマセン m(_ _)m )。







ローギアで100km/hまでカバーしてるのも大概ですが、
☆レンジは0〜160km/hまで全域OKになってますやん。

これは、ローギアが一般のバイクの2速相当、☆レンジが4速相当だから成せる業だったそうで。



こういうバイクは、今でも異色と思えるのに、
当時はあまりにも時代の先を行き過ぎて(?)受け容れらなかったようで、1代限りで姿を消しています。
それに、EARAに乗ろうにも、そもそもバイクのAT限定免許がなかったし、限定解除(→コラム「パパはペーパー限定解除」)する必要もあったし、
ハードルが高かったんですよね。

そこまでして乗るバイクではなかったんやろうね。




そして時代は流れ、今でもバイクでATはスクーターが主で、それ以外ではほとんど普及していないのは、
結局バイクは「操る」乗り物なんやな〜と思わされます。



しかし、なんで「☆」マークにしたんでしょうね、ホンダは…。




画像引用:本田技研工業公式HP
https://www.honda.co.jp/news/1977/2770421.html