6年越しの大決戦(代理)




今日は2004年2月27日。天候、晴れ。
楽しい有休を取得し、ひとりスキーの特訓へ行く日です。


一人でスキーに行くときは、どうしても近場のスキー場ばかりでしたので、今回はひとつ雪質のいいところに行こうと目論んでいました。
目指すは、福井県屈指のスキー場、「スキージャム勝山」!


ところが、着いた場所は、滋賀県の場末のスキー場「びわ湖バレイ」。
うううう(涙)、なんで家から一番近いスキー場なんや〜。


これには深〜い訳が。
僕の大学時代の友人で奈良県に住んでいる「脇(仮名)」による陰謀が渦巻いていました。


「脇」は、見かけこそは(自主規制)ですが、いたってクールな男です。
ですが、クールな表情のまま、ハチャメチャなことや、強烈な冗談を言ってきて、僕を翻弄させて喜ぶことが度々。
マゾヒスト顔負けです。


ちなみに、今回の陰謀はこういった内容でした。
以下「脇」からのメールの要約。

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「(略)ところでお願いというのは、琵琶湖バレーに行くのなら、
(「脇」のこと)が持ってる琵琶湖バレーのリフト券(プラスチック製のICカードで
帰るとき機械に入れると
保証金1000円返ってくるやつ)を返金してきてくれないでしょうか。」


それは、6年前に「脇」がびわ湖バレイに行った際のリフト券だというのです。


「以来それは俺(=「脇」)のタンスの中に封印されてきました。
いつの日か金に替えてやるぅぅぅと6年間も毎年冬が来るたびに思っていました。」
それがついに
俺の前に琵琶湖バレーに行く使者が現れたのです。それが えいまるさんです。
さっそく
明日郵送で送っときますので金に替えてきてください。何卒よろしくお願いします。
成功を祈る★


有無を言わさぬ文体に、畏敬の念を覚えます。「★」などを使うあたりも。
「脇」が住んでる奈良県からでは遠いので、近くに住んでる僕に「使者」などと都合のいい単語で
「行って来い」と暗に命令
してます。
たかが1000円のために…。
そんなに悔しかったのか?


そして2日後に本当にリフト券が送られてきたのです。「脇」の行動力の迅速さに、さらに おののく僕。
リフト券の日付は「97−12−●●」←しかも回数券。


スキー場に行ったことの無い方のために解説しておくと、
スキーのリフト券には、

・一定回数リフトに乗れる「回数券」のほかに、
・一定時間内リフトが乗り放題の「○時間券」
・1日中リフトが乗り放題の「1日券」
・1回だけリフトに乗れる「1回券」などがあります。

滑りまくる、ほとんどのスキーヤー・ボーダーは割高な「回数券」など使わず、
回数を気にせずリフトに乗れる「1日券」か「○時間券」を使うのが普通。


お値段は
リフトに12回乗れる「回数券」が3800円(保証金1000円込)、
「6時間券」が4500円(保証金1000円込)、
「1日券」が5000円(同上)。


リフト12回なんて、滑り始めたら じきに終わってしまいますので
僕たちも、「1日券」などの「乗り放題」しか使いません。


と、言うことは もうお分かりですよね。送られてきたこの回数券は…、回数券は……。



そこでこういうメールを返信しました。

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な〜んかイヤぁな予感がするんやけど。
6年も前のリフト券なんかを回収機に入れたら、途端
「ブッブー」とかブザーが鳴って係員がスッ飛んできて
取り囲まれて、「なんでこんな古いリフト券を持ってるんや、
イカサマしたやろ、そうやろそうやろ!!」とか尋問されて、
やさしい 
えいまる君は君(=脇)を守るために「ううう、そうなんです、私が悪うございました」って
大勢のスキー客の前でよよよよと泣き崩れて、
警察にしょっ引かれて、鉄格子の向こうに放り込まれて、
身元引き受けに来た親に
「おかーちゃ〜〜ん、ごめんよおおおぉぉぉ」ってな事になるに違いない、そうに違いない!!
そん時「脇」は家でお茶飲みながら
「アホやなぁ、
たった1000円のために人生ダイナシにして、わはははは」ってほくそえむに違いない、
そうに違いない!!
おのれ〜「脇」の陰謀に負けてたまるか〜(-_-x)



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すると、「脇」から返信。

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 たぶん正直に係り員の人に言ったら没収されると思うから勇気を出して機械に挿入して下さい。
これは人じゃなくて機械だからできることなんです。できれば
後ろにいっぱい次の人が並んでるときに。
もし、捕まっても黙秘権を使いましょう。
次の日に新聞に小さく≪●●市職員リフト券偽造で逮捕≫て載ったらどうしましょう。

 これを頼めるのは他において えいまる大先生しかおりません。結果報告楽しみにしています。


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↑極めて無責任です。
どーして「脇」のために、おれが勇気を奮わなきゃイケナイんや?
さらに、「脇」は僕に与えた「任務」が失敗することを期待しています。
でなきゃ、「後ろにいっぱい次の人が並んでるときに実行しろ」などと書かないでしょう。普通。

「脇」にとって僕は、忠実なるシモベなのでしょう。
「大先生」などと書くときは、余りの不本意な苦しさに、トイレへ走って2度3度ケロケロしたに違いない。


実行犯の僕が「任務」を失敗しても、「脇」は全く手が汚れません。
つまりやな、おれに捨て駒になれと言うんやな、「脇」?!!
ホント、僕はつくづく損な役回りです。

おれも主犯になりたいよ。
しかも「偽造」って何やねん!本物やないかい!


で、「脇」の巧みな陰謀に見事にハマった僕は、
本当に来てしまった…、びわ湖バレイに。


到着後、早速「脇」の携帯へメール。

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本当は「スキージャム勝山」に行きたかったのに、
君からの
たった1000円ごときのチンケな使命を受けて、仕方なく…チガウチガウ、
97年末付のリフト券保証金換金のため!
喜んで出征させて頂きましたッ!
成功を信じてます。

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びわ湖バレイでの僕の行動は、コラム「真夜中に一人でリフトに乗る男!」と同じですので、こちらを読んでもらうことにしましょう。


今日のびわ湖バレイの雪質は、前日に積雪があったお陰で、まずまず。
天候は曇り+濃霧。ピーカンよりはマシか。
客層は、春休みに入っている大学生やその類似品のグループが大半で、
一人で来てる おやぢな僕は、ちょっとコンプレックスを感じています。
それでも、リフトは待たずに乗れるほどでしたので、快適でした。

昼飯は、スキー場の隅っこにある山荘のレストランでバイキング。2人前は軽く平らげて、あとで腹痛に苦しみました(笑)。
そこで、僕が幼いときに通っていたN殿幼稚園の集団と鉢合わせになり、ビックリでした。
園長先生がおられたので判った次第。世間て狭いですね。



さて、「脇」から託されたリフト券は いつ換金しよう?
いやな「任務」はさっさと片付けるに限る。

12時過ぎにトイレに立ち寄った際に、「任務」遂行。
緊張しながらリフト券を返却機に挿入。




…一瞬の沈黙。
……失敗か?




次の瞬間、機械から「ピッピ〜」音がする。
ぐわっ、失敗したか?逃走準備OK!




と、思ったら、返却口から1000円札が1枚出てきました。


……マジ??
成功したの?!?!
バンザーイ!!!!!

すぐに「脇」に成功した旨のメールを送ると、返事が返ってきました。

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お努め御苦労様です★私の6年越しの夢が えいまる様のおかげで叶いました
できれば夕方ごろの みんな帰る時間の (返却機の)後ろに行列ができてる時に挑戦してほしかったものです…。
でも昼前に返金してまだ滑ってる人(えいまる様)も考えたら怪しいかもしれませんね。

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本当は失敗して欲しかったんやろ?(-_-x)
たった1000円の返金が6年越しの夢とは…。さらにおれの敬称が「様」に一気にレベルアップしてるし。


ホッとした僕は、購入した6時間券のモトを取るべく、存分に滑りまくったのでした。
めでたしめでたし…。


ところで、今回の1000円獲得の「任務」にかかった経費

・朝食 231円
・有料道路 990円(3路線合計)
・スキー場駐車場 1000円
・スキー場ゴンドラ 1200円(特割チケット使用)
・6時間リフト券 3500円(保証金抜き)
・昼食(バイキング) 1200円

〆て、8121円!

全然割が合わんど〜(ToT)
今度、請求書を回しますので、ヨ・ロ・シ・ク・ね、「脇」君★


(2004.2.29)