あの日のおれに、さようなら(2)



この文章は、(1)の続きです。読まれて無い方は、ここを先にご覧ください。


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さて、この先に、今回の目的地、旧・伊勢神トンネルがあります。
R153は新・伊勢神トンネルを通りますが、新トンネルの両端から旧トンネルへ向かう道が伸びています。

旧トンネルは愛知県1の心霊スポットらしく、
興味半分に通ると必ず怖い目に遭うとか、
トンネルを往復すると死ぬとか…、
Googleで「伊勢神トンネル」を検索したら、出るわ出るわ心霊のうわさ話が。



ふ〜ん、それで?



心霊など信じない僕には、全くもってウサン臭い話ばかりです。

だって、うわさ≠事実でしょ。

僕が信じるのは事実だけ。

怖いと思ったら、何も無い所でも怖くなってしまうんや、違うか?

新トンネル入口で記念写真を撮ってから、旧トンネルに向かいます。


旧トンネルに向かう道は、杉の落ち葉が積もっていて、
いかに交通量が少ないかを教えてくれます。


うっかりその葉の上を走ろうものなら、スリップしそうです。
でも、その割にちゃんと舗装してあるやん。

新伊勢崎トンネル・西側入口

それも気にせずどんどんヘアピン坂を上がっていくと、ありました、旧伊勢神トンネル。

明治29(1896)年7月竣工、
明治30(1897)年11月に完成した旧トンネル
は、

高さ制限2.2m、1車線のため先入車優先と、
後の交通社会の到来を全く予測もしてない造り
林の中にひっそりたたずんでいます。

でも、明治時代の建築だけあって、石造りで頑丈そうです。
琵琶湖疏水のトンネルを思わせます。
トンネルは距離がありそうですが、一直線ですので、かなり先の出口側の光が見えています。
実感で5〜600m位でしょうか。

工期もこの時代にしたら短いですね。建設機械もさして無かったでしょうに。

旧伊勢神トンネル・西側入口
確かに入口の雰囲気は、霊感が強いとか寝言言ってる人には
おどろおどろしく感じるでしょうね。


とりあえずここまで来た証拠にと、トンネル前で写真撮影をしてると、
トンネルの中から灯りが……こっちに近づいてきます。


…と、それはトンネルをくぐり抜けてきたアドレス110(※スズキのスクーター)でした。
旧伊勢神トンネルの上部



アドレス110が心霊スポットをあまりにフツーに走ってきたので、雰囲気ぶち壊し。
トンネルに入る前から全面的に拍子抜けです。


彼はカメラを構える僕に、「また心霊のウワサにつられてアホが来てるわ」ってな感じの視線を投げかけてきました。
くそ〜おれは心霊マニアちゃうわい!



んじゃまぁ、気を取り直して走ってみるか。
のろのろと「2相棒」とトンネルに入っていきます。
トンネル内では停まっていませんので写真もありませんが、その辺は他所の心霊スポットHPでチェックしてくださいね。


トンネル内も立派な石造り。でも狭いし、灯りも無く真っ暗ですので圧迫感があります。これが怖いんだろうな。
なぜか途中でトンネルの径が変わったりもしてます。
舗装もイマイチですが、飛ばさなければ走りに支障が出るほどではありません。

別になんてことも無く1分ほどでトンネルをくぐり抜け、東側に出てきました。


こっちのほうは日当たりが悪いせいか、湿っぽく苔むしていて、
僕が入ってきた西側よりずっと雰囲気はあります。
こっちでも当然写真撮影。
旧伊勢神トンネル・東側入口
「2相棒」のリアシートにデジカメを立てて撮影しようとしたのですが、
デジカメのバランスが悪いので、落ちてた棒を咬まして強引に直立させ、
セルフタイマーで撮影。

ウン、きれいに写ってる。

旧伊勢神トンネルの心霊がナンボのもんじゃい
、って
感じがよく出てます(笑)。


誰も来ませんので、トンネル入口そばで堂々と放尿(スミマセン)し、
買ってきた「午後の紅茶」を飲みながらたたずんでいると、
トンネルの向こう側に1台の車の姿がありました。


トンネルに入ろうとして、ためらったのか、少ししてからこっちに向かって
走って
きました。青のシビックでした。


やっぱり怖いのかなぁ。

旧伊勢神トンネル。征服の図(w



午後ティーを飲みながら更にたたずんでいると、トンネルの向こう側にまた1台の車の姿が見えました。
レガシィと思われるその車は、さっきのシビック同様、入口でためらったように停まっていましたが、
次の瞬間、奇妙な動きをして視界から消えました。


ん?と思っていると、トンネルの向こうにさっきのレガシィが再び見えました。


ところが、トンネルに向けて横ッ腹を見せています。
あ!こいつトンネルに入らないで切り返してやがる!
横ッ腹を見せていたレガシィは再びバックし、遂にはテールランプを僕の方に向け一目散に退散してしまいました。



弱虫〜!臆病者〜!お前のカーちゃん出ーベーソ〜!


(多分…、レガシィやしなぁ)だったらトンネルをくぐってこっちに来んかい!
無事に通ってこれたら、ヒゲヅラのおれの熱い抱擁が待ってたというのに(笑)。

時間はすでに15時を過ぎています。日暮れの19時には自宅に帰りたいですので、出発します。

また杉の落ち葉が積もっている道を、葉を踏まないようにそろそろと下り、
新伊勢神トンネルの東側に出て
きます。


やっぱり写真撮影をしてから、新トンネルをくぐり、そのまま帰路につく事にしました。
新トンネルは普通のトンネルで、別段変わったところもありませんでした。


ここまでの走行距離は210km。



来た道を引き返します。行きと違って距離間隔が分かってますので、気楽なモンです。
ネズミ捕りもやってないことがわかっていますので、アクセルもやや大きめに開け気持ちいです。
コーナリングが気持ちいい。


伊勢神トンネルの怪奇現象のひとつに「興味半分で行くと、帰りに怖い目に遭う」とありました。
ほぉ、では、どんな怖いことが起こるのか、ひとつ見せてもらおうかい!



行きしにこいのぼりを見た香嵐渓で、職場の同僚や先輩から立て続けにメール受信。
内容は、今日は忘れることに徹してる仕事ネタ。

……。
ついつい現実に戻り、道端に「2相棒」を停め、小さい画面に向かってメールを打つ僕。
無視できないのが悲しい性。



(略)グリーンロードを再び走ります。

ここもK察がいないと分かっていますので、やや飛ばし気味で無警戒に気持ちよく走ります。
行きもこれくらい軽快に走りたかった…カネ払ってるんやし。

ここでは伊勢神トンネルの祟りは起こりませんでした。


渋滞してる名古屋市街を抜け、時間節約のため東名・名古屋ICから高速を走ります。
しかし、風が強い。
追い風ならいいのに、常に向かい風か横風。
横風の攻撃をなんども受けますが、さすが800ccの「2相棒」。風程度では、ビクともしません。

17時に守山PA(名古屋市守山区)に休憩がてら入ると、おいしそうな定食屋さん発見。

中途半端に腹が減っていた僕は、味噌かつ定食を平らげ(今日2度目の昼食…)。
おいしかった〜。
味噌かつ定食

再び高速を走ります。
風が強いのがネックでしたが、それ以外には何事も無く、気持ちよく高速を走り、無事に帰宅しました。


走行距離、423km。燃費は過去最高の20.4km/Lを記録しました。
で、祟りなんてどこにも無いじゃない(当然だけど)。
それどころか、心癒される休日を過ごせた事に感謝しますよ。
また仕事を頑張ろうって気になりましたからね。


まぁ、何かトラブルがあったら、それを心霊の祟りとか こじつけるのが関の山ってとこじゃないかな?



こんな文章を書いている僕ですが、今のところ伊勢神トンネルの祟りは当たっていません(笑)。


(2004.5.12)