愛のランニング賛歌



高校の陸上部時代以来に、「走り」に目覚めた僕。
今年、2005年は、「マラソン大会荒らし」の1年と位置づけ、
出られそうな大会はエントリーしまくる予定で気合いが入りまくっています。



その第1弾として、
1月2日に「新春びわ湖健康マラソンin大津なぎさ」という約10kmのロードレースに出場しました。

タイムは50分。(大会側は計測してくれないので、公園の大時計を見ての概算)
が、このコース、実際には10.4kmあるそうで、僕は懸念だった10km50分の壁を突破していたことに。
ずんぐりむっくりの おれにしちゃあ いいタイムやん。



これに気をよくした僕は続けて、本日、1月23日に行われた、高槻シティ国際ハーフマラソンに、
15年来の悪友「西(仮名)」と参加してきました。
「西」といえば、僕を走りに覚醒させた張本人。



高校時代からは10kgも肥えて無様な体型の僕ですが、昔取った杵柄、走りのフォームは変わっていません(※当社比)。

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走りの報告の前に、開催された高槻市について簡単に説明を。



大阪府の北東部に位置する大阪府高槻市は、京都市と大阪市のちょうど中間にあり、
JRの新快速で、両都市間で唯一の停車駅、高槻駅からどちらの都市へも15分でアクセスOKと公共交通の便のいい街です。
そのため近年ベッドタウン化し、駅前商店街はにぎやかで、巨大な高層ツインマンションも立つなど、
都市化と人口増加が急速
に進んでいます。



そんな高槻市ですが、駅から10分も歩くとローカルな香りが漂い、そこらの地方都市となんら変わらない風情を見せます。
ごく最近まで電話の市外局番は4桁でしたし、旧所名跡など何かあるのかと思います。
高速道路は山の裾野を通りインターもありません。
京都〜大阪間を下道で行くと通過点のひとつとして名を馳せる…そんな街です。



そこに国際ハーフマラソン」などと書くのは、背伸びしすぎと思うのですが?
高槻市と言って僕が真っ先に思いつくのは、大渋滞を引き起こすことで有名なR171の八丁畷交差点ですもん(笑)。


これ以上本当のことを書くと高槻市民が暴動を起こして、同類項である我らの山科をコーゲキしてきそうですので、
おちょくるのはこのくらいにして本題に移りましょう。


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今までのマラソン大会で「西」と直接対決した3大会で、僕は0勝3敗と惨敗しています。
その汚名返上をかけて、高槻に乗り込みました。



JR高槻駅を降りると送迎バスが駅前にずらっと並んでいて、待つことなくバスに乗れ一路会場の高槻陸上競技場へ。
着くと、すでに大量のジャージ・ウィンドブレーカー姿で気合がバリバリ入っている皆さんの姿が。
それに引き換え僕たちは、思いっきり普段着姿。
とてもこれからハーフマラソンを走る格好に見えません。


陸上競技場というので、さぞかし立派なところかと期待させておいて、
着いてみれば、京都の山奥にある陸上競技場の方が立派と言う笑い話のような、
しょぼ〜いトラック&スタンドが。
その400mトラックもアンツーカーと呼ばれるウレタン地の舗装ではなく、砂地。



受付で参加賞を受け取ると、
中には 大会プログラムと称したタブロイド版の新聞と
かっぱえびせん。
プログラムは普通は冊子になってるし、
協力企業にカルビーは入ってないのに
ナゼ…。



このコラムのタイトルは、その新聞から拝借したのですが…僕のセンスと思われそうやん(笑)。

と まぁ、次々に襲いかかる強烈な脱力。


でも、ゲストは 先のアテネオリンピック女子マラソン金メダリスト、   
野口みずき
!!
なんでやねん!!めちゃくちゃアンバランスやん!!



開会式で金メダルを監督からかけて貰い、観客に披露していますが、
おれのいる位置からは金メダルが全く見えない。
こっち向いて〜!




この日の気温は5度。天気は曇り。降水確率50%。
寒いし、いつ雨が降り出すか分からない不安要素いっぱいのままスタートラインに着き、
ハーフマラソンのベストタイムは1時間54分なのに、調子に乗って「1時間35分」の位置に並びます。
スターターは野口みずき。え、走らへんの?
同じ日に某都市で行われた市民マラソン大会では、あの高橋“Qちゃん”尚子も走ってたのに。



などと思っている間に号砲が鳴り響き、ハーフマラソンのスタートです。



と、前方で「おお〜〜〜っ」とランナーたちから大きなどよめきが。



何事かと思ったら、
あの金メダリストが僕たちに向かって笑顔をふりまきながら手を振ってくれているではないですか!



僕も他のランナーに混じって手を振りました。
その笑顔に、「やるぞー!」ってパワーがみなぎります。男って単純やから(笑)。
許す!すべて許す!



と下心30%増しで、笑顔振りまく野口みずきの前を通過しようとしたその瞬間、



僕の目の前を走っていたオッサンが突然立ち止まってひざまずき、
彼女にカメラを向けているではないか!




先に進むように手で合図しながら苦笑する野口みずき。
「西」は後に「このオッサン、エエ味出してる」と褒めてましたが、
僕はオッサンにつんのめりそうになり、後続ランナーの流れも乱れた気がしました。


アホか〜こんなところで写真撮るな〜〜!おれが前に進めへんやろこのスケベおやぢー!!


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1km、2km、3km…と順調に距離を伸ばしていきます。
堤防上は遮るものもなく、冷たい風が容赦なく吹きつけます。長袖のシャツを着ていても寒いです。
その割にランナー全体の走りのペースは速いなと感じ、僕自身オーバーペース。
ま、最初は「行くどー」とハイテンションなので、そんなことまるで気づいてないわけですが(笑)。



高槻シティ国際ハーフマラソンのコースは
住宅地やガード下トンネル、
工業地帯に堤防を駆け抜ける
起伏に富んだものです。

ごく普通に家が立ち並んだ住宅地の4m道路を、
大量生産大量販売状態のランナーが
途切れることなく走っていく
さまは、

沿道(と言っていいのか?)で声援を送る、その辺の家から這い出てきたオバちゃんたちには、
「小象の行進」を思わせるものがあったかと思います。


そんな住宅地レースにもかかわらず、給水所が4ヶ所もあり、
コース中にトイレの案内まであります。


給水所でもらった水を頭からかぶったら、これがまたよく冷えた水で、体温が下がり、
走りながら身震いします。


泣かされたのは、何度もある堤防の上り下りです。何回上り下りさせるのか。
また堤防〜下界間の坂道は勾配がキツく、そのたびにペースが乱れます。
住宅地を走っていたかと思うと突然坂道が現れ、いつの間にか殺風景な堤防を走っていたり。

舗装されてない地道もあるあたり、さすが非公認コースですね。



5km付近までは、宿敵「西」とほぼ並走していました。
そこから足に痛みを感じ始めペースが落ちてきて、「西」の背中がどんどん遠くになっていきます。待って〜!
それもこれも新品のシューズのせいでした。



本番レースでは履きなれたシューズで走るのが鉄則なんですよね。
なんでもそうですが、新品はよく使い込み馴染んでこそ本調子を発揮するもの。
なのに、僕は卸したての新品のシューズを履いてレースに出るという、一番やってはいけないNGを犯していたのです。
「新しいシューズ、シューズ♪」って浮かれてたんですね。この歳になっても おこちゃまのままですから(笑)。
とても元・陸上部のするNGとは思えません。



10kmを越え、復路に入るまえに、お約束の住宅地〜堤防にいたる強烈な上り坂をぜえぜえ言いながらのぼり、
風景がより単調な淀川の堤防上へ。
住宅地のように同じ建造物があって単調…ではなく、まっすぐに伸びる堤防の道と、横に広がる淀川の河川敷。
要するに形のあるものが無いのです。
距離感覚も狂ってしまいます。ずっと先のほうまでランナーが走ってるのが見え、憂うつです。
視界に入っている大きな建造物と言えば、先の方に見えてるクリーンセンターだけ。
それも走っても走っても一向に近付いてこない。どよーんとした曇り空がそれに拍車をかけています。



後半の10〜15kmあたりが一番苦しかった。
腕を振ろうと手をグーに握ると指先のアカギレが割れて血が滴り、白のシャツに赤いしみを作っていました。

足の裏が痛く、さらにペースが落ち、
女性ランナーや白いナンバーカードを着けた40歳以上のランナーに次々抜かれまくります。
ペースを上げたくても、足の痛みがどうにもならず。口惜しくてなりません。
「西」はとっくの昔に視界から消え去っています。



自分の体型が悪いのを遅い原因と決め付けていました。おれ中年太りやし、遅くて当然やもん、と。
ところが、僕より太っちょの方にまで悠々と抜かれ、責任転嫁する自分を責めます。

もうどうにでもなれ!と投げやりになってきました。制限時間以内に完走できればエエんや。



沿道の派手な飾りをした若者たちが「まもなく残り3kmですよ〜」と言ってくれます。
でも、あまりに走りのペースが酷かったので、
18.4km地点にある、コース内で唯一の「時間制限のある関門」で2時間を過ぎているのではと思ったら、意外や意外。
まだ1時間37分でした。投げやりの割に平均時速10キロを超えています。
ということは、前半は飛ばしすぎってこと?
あと2.7kmを23分以内で走ったら、2時間を切れる!
がんばり次第では、ベストタイム1時間54分の更新も射程距離に入ります。



残り2km、1kmと標識が出て、励まされます。ペースはさらに落ちる一方ですが、決して歩いてはいません。
歩くと次に走り出せないからです。



が、トドメにゴール手前500mでコースを横断する車に進路を譲らされ、止まらされてしまいます。
なんでランナーを止めるんや!!1秒でも速く走りたいランナーより、車の円滑な流れのほうが大事なんかい!!!
さすが高槻、最後の最後でやってくれます。



再び走り出すも車の通過待ちで滞留していたランナーにさらに抜かれ、順位が一気に落ちます。
そこからすぐの陸上競技場に戻ってきて、横の学校に掲げられていた時計を見ると、2時間まであと5分。
ベストタイムが過ぎてるやん(つд`)



そして、周囲の歓声に包まれながらゴールラインを通過する直前にラストスパートした3人ほどに抜かれる。

ぐわーやられた!
僕にはスパートをかける力は残っていませんでしたわ。



走ってる最中に何度も苦しくなり、そのたびに「二度とハーフマラソンなんか出るもんか!」と思うのに、
ゴールした瞬間にすべてを許し、「また次も出よう」と次の大会に向けやる気満々になってます。
ちっとも懲りていません(笑)。

完走証を即時発行してくれる大サービスつきです。で、見ると…。→


「西」と15分もの大差をつけられ、ヤツの順位は僕より200位上の
291位でした。


おれ、完走者825人の前半分にも入ってへんやん…。
ふらふらモードで着替えに体育館に入ると、
「西」はすでに着替えを終えてあぐらをかき
「おつかれ」と余裕しゃくしゃくで僕を迎えてくれました。

ぢぐじょ゛〜(´Д⊂

拡大→ 



これで、おれvs「西」のマラソン大会の対戦成績は4連敗に伸びてしまいました。
って、全敗街道まっしぐら!!ううううううう〜(涙)。


次は履き慣れたシューズで…。


新しいシューズが足に馴染まず靭帯を伸ばしてしまい、仕事を1日半も休んでしまったのはヒミツです(笑)。

走ってて靭帯を痛めるなんて普通考えられへんよ…(-_-;)


(2005.1.30)