秘境のスキー楽園の味は



真夏に向けて一直線!のこの時期に寒いネタをお届けしようと思います。


単純にコラムを書くチャンスが訪れなかっただけなんて、とても大声では言えへんわ(笑)。



僕の冬の趣味と言えば、スキーに尽きます。
平日を1日休みにして、滋賀県のスキー場に特訓に行くくらい、好きです。


でも、この歳になると、スキーや百歩譲ってスノーボードをしてる友人はほぼ皆無。
一人で滑ってると、自分より明らかに若い連中が楽しそうにしてるのに嫉妬したり。



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そのなか、数少ないスキー友達が、奈良県に住む大学時代の同級生、「(仮名)」
毎年雪が降る季節になると、「脇」と日帰りで雪山めぐりをしています。
「脇」がスキー場マニアですので、一緒に滑りに行く時は、彼に場所を選んでもらっています。
スキー場自体は大抵「当たり」で、満足な一日を送れ、「脇」さまさまってところ。


いつもいつも「脇」に段取りをしてもらってばかりでは申し訳ないですので、たまには僕からスキーに行かへんかと誘ってみました。
目指すは、琵琶湖バレイのオールナイトスキー
夜は滑ったことが無いと言う彼に、ナイトスキーを味わってもらおうと思ったのでした。


そして、2005年2月19日夜、我らのゲタ車、「ゴミリオ」で、琵琶湖バレイにやってきました。
ところが、山の上にあるスキー場に上がるために乗るゴンドラのチケット売り場で、
いつもはセット販売しているリフト券の販売をしていないと言うのです。


何でやろ?と2人で訝しがりながらゴンドラに乗り込み、標高1100mのスキー場を目指しました。
この日は風がかなり強く、そのためゴンドラが途中で停止するハプニングも発生。
真っ暗な中でボロゴンドラが強風で激しく揺れ、「脇」はすっかり怖がっています。
このゴンドラが落ちたらどうしよう、と。



そんなこと言ってもどうしようもないではないか。アカン時はアカンのやし、落ちるときは落ちるんやと開き直る僕。


無事に山頂の琵琶湖バレイに着けたのですが、様子が変です。
普通滑って行く下り斜面を、板を担いだ人たちが
なぜか逆にぞろぞろと登ってきている
のです。
見てわかりました。
強風ですべてのリフトが運行中止。
それでふもとでリフト券が売ってなかったのか…。


強風というか、暴風です。かぶっている帽子が飛ばされそうです。
いつリフト運行が再開するかわかりませんので、さっさと下山しました。    
また揺れまくるゴンドラで…。
滞在時間、数分。往復のゴンドラ代返せ〜!!


おれってツイてへんのんやなぁ…。うううう(涙)。




でも、ここで家に帰ってしまったのでは奈良から来てくれた「脇」に申し訳ない。
どこか滑りに行こう!

……、

………!!

そうや、あそこはどうや?!


それが今回の主役となる、広河原スキー場でした。    


広河原といえば、由緒正しき京都市の最北・最果ての地
東西南北、どのルートで行こうにも不便なそこにスキー場があるのです。



しばらくの間閉鎖されていたのですが、
2002年冬に再オープンした広河原スキー場。



比叡山人工スキー場がなくなった今、
京都市内唯一のスキー場
で、
新聞の「スキー場便り」欄には一番に書いてあるのに、


あまりのローカルさに詳細はなぞに包まれている
幻のようなスキー場。

滋賀県朽木村(現・高島市朽木)にあるウルトラ地味な「朽木スキー場」より 
マイナーです。



広河原自体は雪の無い季節に「相棒」や「2相棒」と何度も行ってますので
 (広河原の松上げ参照)
ここにスキー場があるのは知ってましたが、

冬に行くのは始めて。



山を越え雪をかき分けた先にある
秘境のスキー場の感じ
で興味津々、好奇心もりもり。
面白そうではないか。行かないわけにはいかないでしょう。



琵琶湖バレイを後にした僕たちは、広河原へと移動を開始しました。
スキー場の駐車場で仮眠を取って朝イチから滑る計画に。



 

琵琶湖バレイ→【R161】→大津市堅田→【R477】→途中峠→【R367】→

→京都市左京区大原→【府道40】→左京区鞍馬→【R477】→左京区花背→【府道38】→広河原


「ゴミリオ」は、漆黒の街道を疾走します。
鞍馬を抜けると路肩に雪が。


鞍馬〜花背のR477は、国道史上ワースト30ぐらいには入れそうな
極悪国道
で、急坂ヘアピンカーブの嵐。
当然街灯も無し。路面は凍結してるでしょうし、K帯はもちろん通じない。

通る車などあるわけ無いのでトラブってもSOSも不能
当然慎重に走らざるを得ません。


昼間なら距離を感じないのに、この条件下では、花背峠までが遠い遠い。
野生の鹿がいました。真っ暗な中で目が見えるのがうらやましい。


花背〜広河原間は、これが同じ京都市かと言うくらい雪が
たっぷり積もって
いて、別世界です。


山の間を縫うように走る道を長々とたどり、
やっと広河原スキー場らしき場所に着きました。


暗くて狭い道を走り続けていましたので、感覚がヘンになっています。
が、真っ暗で積雪があるので、どこが入口かわからず、
横の喫茶店の駐車場らしき場所に車を入れ、仮眠しました。



スキー場の先の府道38号は、佐々里峠を経由して
美山町へ抜けられるのですが、今は深い雪で閉ざされ、先にはいけません。
K帯も当然圏外。
この地は陸の孤島と化しています。


それにしてもアクセス悪すぎです。
僕の自宅からなら2時間もかかるんですから。
琵琶湖バレイなど1時間余りでいけるのに。これでは普通の人はここまでは来ないよな。


僕たちは普通じゃないと言うことで(笑)。



夜が明け、2月20日の朝を迎えました。
横のスキー場駐車場には、僕たちと同じように車中泊してる車
停まっていました。

大きなスキー場になると、深夜から車が何百台と集結し、
仮眠して朝イチから滑るのが王道なのですが、
ここも例外ではありませんでした。


↑この写真だけ夏に撮りました


でも、ここに停まっていたのは、たったの2台。なんて寂しいんだ(笑)。
スキー場オープン時間間際に1台車が来て、
僕たちを合わせてもわずか4台
さすが秘境のスキー場。


駐車場はタダと大々的に言ってるくせに、入場料などという、他のスキー場では考えられない料金1000円を取られ、
リフト2時間乗り放題で2000円と他のスキー場からしても相当割高なリフト券を購入。
この客数では、それくらい高い目の値段設定でないと、やっていけないのでしょう。
(注:後に2500円の「1日券」も出来ました)



あとから分かることなのですが、このスキー場のスタッフは総勢7〜8名



全員学生のバイト君風で、彼らは入場門のモギリや、レンタルスキー屋の店員、リフトの監視員、レストハウスの厨房など、
一人数役はこなさないといけない激務です。
さっきリフト乗り場にいたスタッフが、次の瞬間レストハウスの厨房に立っていることも珍しくありません。



とにかく滑るどー!

その前に写真を一枚。誰もいません(笑)。こんなスキー場初めてや。
積雪量は130cm。この年の冬は寒かったですので例年より雪があります。よしよし。  

しかし天候は曇り→吹雪に。僕の雨男パワー大炸裂ですか?



僕たちがよく行く岐阜や長野の大きなスキー場だと、

 ・4人乗りリフトが何本も設えられてたり、
 ・ゴンドラなどで一気に山頂まで上がれるなど当たり前です。
 ・滑走コースも多数あり、どこを滑ろうか迷うほどだったりします。
 ・当然人もたくさん来ますので、レストハウスがいくつもあり、それぞれでオリジナルメニューの食事が待っている
 ・イベントも盛りだくさん…など、充実かつ飽きないようにいろいろ考えられています。



それに対して、広河原スキー場はというと、


一人乗りのリフトが1本だけ。当然滑走コースも1本…。
スキー場にはお約束の有線放送も、
ここではFMラジオ放送がスピーカーから流れ(それも地元京都のアルファステーション)、
むなしく周囲にこだましています。


普通はリフトに乗ると終点まで途中下車は出来ないものですが、ここは1ヶ所途中下車が出来るようになっています。
途中下車すると、緩斜面の部分だけ滑れ、
終点まで乗ると、ハーフパイプ状の斜面+緩斜面と長く滑れる設定です。

リフトで終点近くから、振り返ってふもとを撮影。→  
コースはU字形になっています
雪の上のゴマ粒のような物体が、滑ってる人々



そして、ふもとに2階建てのちいさなレストハウスが1件
まだ建ててから年数が経っていないのか(2002年の再オープン時に建てた感じ)、きれいなのがせめてもの救い。

ま、スキーをしない人にこんな説明をしても分からないと思いますので、一言で言ってしまうと、


ショボい


のです。


至れり尽くせりのスキー場に慣れた僕たちには、広河原は…良く言えば、シンプル、ですが、
悪く言えば、何もない…のに驚愕です。


僕たちが滑り始めた時点では、客数が1桁台でしたので、ほぼ貸切でした。
なんぼ考えてもシーズン中の日曜のスキー場と思えません(笑)。


しばらくすると、朝に家を出発した感じの連中が到着、スキー場に入ってきて混雑してきました。

こんなにたくさん滑ってます(笑)。   


「脇」はコース上部のハーフパイプのアイスバーンに怖気ついて、リフトを途中で降りてしまいます。
口ではクールな表情のまま結構ボロカスに言うくせに、かなりの小心者と証明されました(笑)。


僕一人でリフトで最上部まで上り、何度も何度も滑走しました。
なにしろリフトの乗り放題は2時間の制限つきですからね。


そして、2時間が過ぎ、休憩も取らずに滑り倒した僕たちは、昼食にレストハウスに入りました。


メニューは大きく
・カレー
・うどん
・ラーメン



の3種類で、あとはビールなどの飲み物やスナックがあるだけの、このスキー場らしさが例外なく生かされていました。


と、メニューを見直すと、
カレーには
「甘口」と「中辛」の2種類
があります。

めざとい「脇」は、
「わざわざ辛さが選べるなんて、カレーだけは手作りでこだわっているに違いない!」
と、
ひとり息巻いています。

そうなんやろうか…と2人で甘口(700円)を注文しました。


程なくして出てきたカレーは↓


















コメントは差し控えさせてください(笑)。写真もモザイクかけさせてもらいました。
いや、この場で暖かくおいしいものが食べられることに感謝をしなくてはいけません。

広河原とは、そういう場所なのです。ここが京都市内といえども、観光地のあの京都を思い浮かべてはいけない(笑)。


帰りがけの12時に、スキー場の駐車場に停まっている車を改めて数えてみると、
それでも、わずか25〜6台でした。
バスで来てる客を含めても、総勢100人程度でしょう。子連れが多かったのが印象的でした。ますます利幅が狭いやん。
もっと金を落としてくれる若者が来たくなるようなスキー場にならへんかなぁ。


まぁ、大人気のスキー場なら、リフトに乗るだけでも延々並んで、頂上に着いたらあっという間に滑り降りて、またリフト待ちを延々させられ…
おれたちはリフト待ちしに来てるんかい!!なのも困るんですけどね。


この冬で、再オープンして3シーズン目。再び「閉店」しないことを願いながら、広河原を後にしました。
教訓:食べ物は必ず事前に調達せよ(笑)。



 ←広河原の府道38号線


「脇」は、もう二度と来ることは無いだろうと言い残しました。

それもそのはず、
後日、「脇」が友人たちに広河原で滑ってきたと言っても、
返事は「広河原ってどこ?」とか言われた
そうで、ダブルショックだったようですから(笑)。