魅力・憧れ・羨望・ナナハン




先日、「2相棒」と遠出をしたときのこと。
出先のジャスコの駐輪場にバイクを停めていると、背後から感嘆の声が。




「いやぁ〜っ!これが 『ナナハン』 っていうのね!!」




振り返ると、60代半ばといった感じのJOGポシェ(ヤマハの原チャ)に乗ったオバちゃんが。



いやいや、「2相棒」はナナハンより更に大きい800ccなんですよ、と言うと、オバちゃん、
「へえぇ〜っ、これナナハンより大きいの??!!私こんなに大きなバイクは初めて見たわ!!



今はナナハンより大きなバイクがいっぱいあるんですよ。1000ccとかねぇ。



「そんなのもあるの?!
私のバイク(JOGポシェ)なんてどこかへ飛んでいってしまいそうよ(≒比較にならないということか?(※えいまる注))
そのバイク高いんでしょ?(値段は)車ぐらいするの??」


はい、100万くらいはしますよ。


「すごいのねぇ〜〜!!」


バイク好きですからねぇ。



…その後もオバちゃんはスゴいスゴいの連発で、かなり照れました(*^o^*)
こんなに感心してもらえるなら、ちゃんと洗車しておけばよかった(悔)。


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耳の奥まで懐かしく響く単語を 久しぶりに聞きました。




ナナハン




いまやめっきり言わなくなった(聞かなくなった)バイク用語のひとつです。



僕のHPに来てくださっている皆さんなら解説は要らないでしょうけど、
ナナハンとは、750ccのバイクのことを指しています。
「700+50(100の半分)」で、ナナハン(7半)。



かつて、僕が高校生のころまでは、国内仕様のバイクの排気量は750ccまでという
くだらない規制があった
のです。

バイクメーカーの自主規制と言われてたそうですが、実際にはどっかの官公庁から通達があったようですね。
いかにもお役所のやりそうなことです。




それに当時は、401cc超のバイクに乗るには、難関の限定解除(←お役所のバカくさい規制のひとつでした)が必要だったので、
それに乗れるということは非常に高いステータスだったわけです。
また、そのころのナナハンには名車が多数あったことも、ステータスを押し上げていた理由のひとつでもあります。


個人的に好きなナナハンは

FZ750(ヤマハ)です→



CB750FOUR(ホンダ)なども渋いですね。(→ コラム 「一目ぼれのCB))


その言葉をオバちゃんが発するとは。若かりしころの強い憧れだったのでしょう。


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僕がバイクに目覚めた、18〜9歳のころ、街角に停まっているバイクを眺めるのが趣味になっていた僕は、
ある1台のバイクに釘付けになりました。


いまでもはっきり覚えています。京都市内の釜座通沿いにいつも停まっていた、あのレーサーレプリカ型のバイク。



当時、僕の内容に乏しいバイクデータベースでは、「レプリカには、原付・250cc・400ccの3種類がある」となっていました。


でも、そのバイクはどれにも該当しないのです。
カッコイイと思って眺めていたCBR250RRやZXR400などより大きく、迫力があったからです。

それでもレプリカは400ccが最大サイズと信じていた僕は、これも大柄な400ccに違いないと思い込んでいました。


それが、バイクの世界を震撼させたモンスター、CBR900RRだったと知るのは相当後になってからのことです。

(CBR900RRが「ナナハン規制」を受けない逆輸入車だったことを知るのは、さらに後になりますが…
蛇足ですが、今でも行われているバイクの逆輸入が始まったのは「ナナハン規制」が発端だったようです。
逆輸入車については
「打ち砕いたLEGEND」参照)




バブル経済の崩壊するころに「ナナハン規制」が解かれた途端、バイクも大排気量化が進みます。

いつの間にか1000cc(1g)を越えるようなバイク(リッターバイク)が発売され、馬力競争は過熱し、
限定解除廃止→大型二輪免許の教習所での取得可とあいまって、
またたく間にバイクの勢力図は変わってしまいました。


いまや、若い世代の人にナナハンなんて言っていたら、「オッサン、古いな〜」とか言われるんでしょうね。



いまどきの憧れはナナハンではなく、リッターバイク。
そんなものも今となっては簡単に手に入るのですから、その価値は往年のナナハンの比ではないでしょうけどね。
メーカーも性能ばかりに重きを置くことに心血を注ぐ一方で、本当に乗り手のことを考えて作られたリッターバイクを、僕は知りません。




どうかメーカーの皆さんには、後年に名を残せるバイクを作っていただきたいものです。
かつてのナナハンたちのように。