紅葉は続くよどこまでも



秋も深まる11月下旬。本州の中部以西緑の木々が赤や黄色に色づき始めます。
京都市内の名所旧跡に、全国から観光客が最も集結する時期のひとつです。
桜をめでるのも結構ですが、紅葉狩りもオツなものです。
どこもかしこも人が多すぎて静かに鑑賞できないのが最大の問題ですが。
べつに京都に来なくっても、紅葉がきれいなところはいっぱいあるやん。



新聞の「紅葉だより」欄が賑やかになってきたころ、
いつもように大阪に仮住まいの超悪友「真宗Jr」こと「T」からメールが入ってきました。


「明日、紅葉ツアーに行かない?」


いつもようにスーパー過酷労働を強いられてる「T」からのお誘いは必ずといっていいほど前日の夜。
今回もやっぱりそうでした。


僕も特に予定がなく、バイクでどこかに走りに行きたいと思っていたので、ちょうどいいタイミング。
即OK。


しかし、翌日は母親のLEADも弟のDioもそれぞれが乗るとのことで、僕には原チャが無い!
そこで、向かいの家のLEAD(旧型)を頼んで借りることにしました。

もともとは我が家のバイクだったんですけどね、あげたんです。
原ツー初期のころに活躍してました。
HPで言うなら、伊勢湾エンゼルライン丹後半島などへ一緒に行った仲。


いまや向かいの家所有のLEAD(旧型)は、あまり丁寧に扱われてないらしく、


サスペンションはギシギシ音を立て、
バッテリーがお亡くなりになっていて、キックスタートでないとエンジンがかかりませんし、
変速のタイミングがずれて中間加速はモタモタ、
雨ざらしでドロドロと悲惨な状態
です。


僕のよき「(仮の)パートナー」がこれでは台無しです。
とりあえずはボディを拭き上げてやり、これだけでも十分見栄えがよくなりました。
年季の入った渋い光を放っています。車齢13歳ですからね。そりゃもう。


さて翌日、2004年11月28日(日)。快晴。


どこへ行こうか迷うのもツーリングの楽しみの一つですが、
京都市内の紅葉の名所は大渋滞でたどり着くのも困難なことが分かっていますので最初から除外。
空いてそうで、マイナーな名所でゆっくり紅葉狩りをしようやんと考えた結果、
「T」とのツーリングでは初となる南向きをチョイスしました。


空いててマイナーな場所のどこが「名所」なのか、などの疑問は却下。


さあ行くどー!と気合いを入れて「T」にモーニングメール。起きてるかー。
すぐに返事が。

「おはよう!今まだ大阪、12時くらいになりそう…」
……おい、まだ大阪って、やる気あるの?


その間に僕はお借りした元・我が家のLEAD(旧型)に馴染んでおこう。
エンジンをかけようとキックスターターを元気よく蹴りますが、一向にエンジンのかかる気配なし。
何十回とキックしましたが、かからない。足がつりそう。
向かいの家の方が「しばらく乗ってなかった」と言っていたので、エンジンが腐ったのではと顔面蒼白。


何が何でもこのLEAD(旧型)でツーリングに行きたいんや!
ブースターケーブルを家から持ってきてLEAD(旧型)と向かいの家の車のバッテリーをつないで、
LEAD(旧型)のセルを何度も回してみると、見事かかりました!!万歳!


でもなぁこんな調子で大丈夫かいなぁと不安全開でしたよ。
が、エンジンを暖めてやると、その後はキックで一発でエンジンがかかるようになって一安心。
よろしく頼むで、「パートナー(仮)」!


そして、「T」がスマートDioに乗って我が家にやってきたのは12時50分。遅すぎですがな!
前回と同様、彼の母親が原チャに乗って出かけていてなかなか帰ってこなかったのが原因でした。


でも、彼が定刻どおり12時に来ていたら、エンジンがかからず悪戦苦闘している僕のみっともない姿を見られたわけで…。
結果オーライとしておこう(笑)。

ようやく出発。目指せ京都府南部!

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京都府のほぼ最南端に位置する和束(わづか)町と笠置町に目指す紅葉があります。

そのルート取りも、まっすぐ南に向かうと大渋滞に突入してしまうので、大分迷ったのですが
大回りコースを取りました。


往路 山科→ <R1東進> → 滋賀県大津市石山 → <県道105> → <県道781> → <R422南進> → 鹿跳橋→

→ <県道3・府道3> → 宇治川ライン → 宵待端 → <府道62南進> → 和束町 → 
正法寺
→ <引き続き府道62南進> → 笠置町 → <R163東進> → 笠置山
復路 → <R163西進> → 木津町 → <R24北上> → 観月橋 → <外環状線東進> → 山科



わざわざ滋賀県を経由して渋滞の名所をパス。
距離は最短ルートより10km以上遠回りですが、こっちのほうが道は空いてますし、
ワインディングは楽しいし、K察が速度を測ってることもないので心置きなく走れます。

現に、R422以降はガラガラ。宇治川ラインは後続車もなく飛ばし放題です。
距離を犠牲にしてでも快適な走りを求める
僕の勝利ですわ。


往路で一番長い距離を走った府道62号は、山越えの狭い道です。
ただでさえ原付泣かせの坂道が多いのに、
LEAD(旧型)は先に書いたとおり、変速のタイミングの不調で20〜30km/hあたりで加速が鈍り
上り坂の途中でその速度域に入るとそれ以上スピードが出なくなる問題バイクです。


案の定、長い急な上り坂の途中で失速して問題の速度域に入ってしまい、
アクセルをいくら開けても20km/hくらいしか出ません。


悪戦苦闘してる僕の横を「遅いな〜」と軽々と抜いていく「T」
あっという間に彼の姿は見えなくなり、いつ熊などが出てきてもおかしくないような雰囲気の道を半泣きになりながら走行。
ずいぶん長い距離を走ってやっと峠に着くと、そこで平然と「T」が待ってるやん!
くそー、原ツーの主役はおれ(のつもり)やのに、こざかしい!!


   左の写真を拡大→
↑僕たちは「宇治田原町」側から来て、2車線ある下向きの道を行こうとしたのですが、
「T」が「右向きの矢印に『和束』と書いてあるやんと、林の中に消えてゆく1車線の道を行こうとします。

当然“ツーリング長”の僕の権限で認めませんでした(笑)。



峠を下ると第一の目的地、和束町・正法寺に到着です。
いかにも誰も来なさそうな場所にあったのでここを選んだわけですが、案の定誰もいませんでした。
車も通らないので、耳に入る音は風にそよぐ木々の音だけ
とても日曜の昼下がりの光景と思えません。



そのころの京都市内は紅葉見物客で阿鼻叫喚の地獄絵図だったでしょうに、僕たちのいる正法寺は閑静そのもの。
迎えてくれる木立は、僕たちを待っていたかのように赤や黄色など鮮やかに色づいています。


こういう場所が理想やったんや。
「大穴」を当てた気分です。正法寺には申し訳ないですけど(爆笑)。


「T」がカメラを取り出して写真を撮っているので、僕を1枚写してくれへんか?と僕のデジカメを「T」に手渡しました。
たしかに撮ってくれましたわ。


こんなにいっぱい(怒)↓

誰がおれを目いっぱいズームして撮れって言った〜!!!(-_-x)
デジカメの液晶画面いっぱいにうつった僕のどアップ画像を見て涙が出るほど爆笑。


年齢も考えずキャッキャと境内周囲で騒いで非常識なとお思いでしょうが、誰もいません…いや、誰も来そうにないですよね。
もちろん誰かに見られてる気配もないので、ビッグ・チャイルド・フェロモンを平気で撒き散らしてます(笑)。


なにかと僕のすることにケチをつける「T」がモミジに見とれながら、珍しく「褒めてつかわす」。
おいこら、連れて来てもらっておいて、ずいぶん偉そうやないかい(-_-x)


ひとしきり紅葉をめでて、満足したので、次なる目的地に出発進行!
そっちがメインなんですけどね。


また急な山越えルート、引き続き府道62号を南へ走ります。
そして、また問題の速度域にハマり「T」に置いてけぼりに(涙)。
ううう、押して走ったほうが速いんじゃないかと思われる程度のモタモタぶり。エンジンが止まりそう。
これ以上の屈辱はありません。


ツーリングの運営責任者を放って先に行くな〜!!


また峠でヤツは待っていました。「5分くらい待ったかなぁ〜」
ますますこざかしい〜(#゚Д゚)


坂を下ると野猿の群れが。それを蹴散らしていきます。
背中に小猿を背負ったまますごい大ジャンプを見せる親猿もいて、野生の力を感じますよ。
すぐ下には交通量のあるR163があるのに、こんなところでも野生がいるんですね。
「T」曰く「猿と目を合わせると襲われる」らしいので、もっと猿と遊びたかったのにそのまま停まらず走り抜けました。


眼下には木津川の流れが視野いっぱいに広がっています。猿がいなかったら停まってゆっくり眺めたかったのに。
ようやく京都府の最南端、すぐそこは奈良県との県境。
そして、最終目的地の笠置山到着です。


その前に最大の難関が。
紅葉の名所は山のてっぺんなので、そこまで原チャで登らなくてはいけない大仕事が待ってます。
…本日3度目ですので、もう書かなくていいですよね?うううう(つд`)


実質走行時間2時間、54kmを走って笠置山の山頂駐車場(バイク1台200円)に原チャを停め、早速紅葉見物。
肝心の笠置寺に入るには300円の拝観料が要るのでしぶしぶ払い拝観ルートをたどります。

拝観ルート、1周800m。所要時間30〜40分


その金を払う場所(「T」は「関所」と呼んでいました)は入り口から離れた広い場所にあり、
知らん顔をして素通りできそうなことに「T」が「非合理的」と激怒。


「何で入り口の脇に「関所」を建てへんのや、非合理的な。こんなんやったら金を払う意味はない」とか、ひたすら非合理的やとボヤきます。
そんな細かいことにこだわらなくてもエエやん、となだめる僕を見下しています。
完全に会社に支配されてるな、「T」。
しかし、最後に僕も反旗を翻します。


歩けど歩けど旧跡があるだけで、紅葉はどこにもありません。

それどころか、本日のメインイベントで僕たちは
岩と岩の間を体をよじって歩いたり、岩のトンネルをくぐったり、長い階段を歩いたりと、
ちょっとした冒険気分を味わわされます。
あの、僕たち、紅葉を見に来たんですけど…。

胎内くぐり(石のトンネルやね) 磨崖仏と撮影の邪魔をする「T」の手(-_-x)



若い(疑)僕たちでも歩きにくい拝観ルートなのに、そこを足の不自由なお年寄りまで歩いています。
どう考えても、その先の岩の割れ目の間は歩けないど。


金を払うときに受付のオバちゃんが言ってやるべきでしょうが…。
ライトアップ用の電灯がそこここに置かれています。でも、そこに紅葉は無し。
ライトアップの時間までここに留まってたら周囲は真っ暗でしょうし、きれいより怖いが先に来るでしょうね。


何かが間違っていると感じながら拝観ルートを一周して元の「関所」に戻ってきました。
肝心の紅葉は全く存在せず!


いらん散財をしたよなぁと2人で話しながら歩いていると、もう一本の道を発見。
そこを辿ってみると……例の「関所」を避けて拝観ルートにダイレクトに入れるではないですか!


「知るんじゃなかった、やっぱり(関所の場所は)非合理的やった」と2人とも肩を落として原チャで下山しました。

その中腹にあったモミジが一番きれいだった  のがさらに皮肉でしたね。
見事な無駄足を踏んだわけです。


さて、山科に帰る僕たちを待ち受けていたのは、夕暮れです。
出発が遅かった上に目的地で時間を費やしたので、日が西の空に吸い込まれそうな位置に来ていました。


そこへもってR163もR24も川の堤防上を走るため、風を遮るものがなく、僕たちにびゅうびゅう吹きつけます。
日中は暖かかったので、僕は3シーズンのバイクジャケットにジーンズ。「T」はTシャツの上に薄い革のジャケット。
2人とも晩秋の服装ではありません。


行きは坂道でバイクがダメージを受けましたが、帰りは僕たちが寒さに襲われます。
僕はフルフェイスなのでまだいいものの、「T」は半キャップ。
道が直線状で空いてるので、ついついスピードが上がります。
帰り着いてから聞いたのですが「T」は「かなり寒かった」そうです。
秋の日はつるべ落とし。甘く見てはいけませんね。


17時過ぎに山科に帰ってきたときは、既に日がどっぷり暮れていました。
それでも走行距離は帰路が46km。
全部で100kmと、しっかり走れました。


そして、1日限りのパートナーを務めてくれたLEAD(旧型)は、再び向かいの家の隅っこにカバーも掛けられずに放置されました(笑)。
せっかくいっぱい走ってエンジンの調子を高めてあげたのに…。