予備タン




えいまる君がバイク乗りになる前の出来事。
当時ママチャリでどこでも行く健康優良児だった僕の耳に、バイクを前にした男2人の会話が入ってきました。



男A「あと(このバイクのガソリン残量は)何Lくらいあるんや?」
男B「予備タンクをいれて5Lくらいかな」




予備タンク



すでにバイクに大いなる興味を示していた僕の脳裏に強く刻み込まれた単語でした。
バイクって、燃料タンクが「メインタンク」+「予備タンク」と2つもついているのか。凄いんやな〜
後に「相棒」と出会うまで、ずっと↑のように思っていました。



大間違いです。



知らない方のために書いておくと、これはバイク独特のシステムなんです。
名称も「予備タン」「ク」を端折って言うほうが多いです。


お手持ちのバイクの燃料コックがあれば、そこにこんな文字が書かれていませんか?

  

ON・OFF・RES(左写真(ホンダ・RVF400))
または、
ON・PRI・RES (右写真(カワサキ・エリミネーター125))

が あれば、そのバイクには予備タンがあります。



両者はガソリンの供給方法によって違うだけですので、ここでの詳しい説明は省略。
燃料タンクの仕組みについては、図にするとこんな感じ。

燃料タンクの下には燃料コックがあり、普段はコックを「ON」の位置にしてガソリンを取り込んでいます。
そして、「ON」の下限まで来るといったんガス欠を起こすので、
そこで初めてコックを「RES」にする。
するとまたしばらく走れる。


図中の「ガソリン」が指し示しているのが、
ちょうど予備タンの容量
になります。


燃料タンクを2つに区切っているわけではないんですね。


もちろん、カタログなどの燃料タンク容量は、
予備タンを含めた全容量を示しているのは言うまでもありません。



バイクの燃料タンクは小さく(3Lなんて車種もあるくらいですから)航続距離が少ないこともありますし、
車種によっては燃料計が付いてないのもあります。



そのために、一度ガス欠を起こさせることで燃料が残り少ないよ〜と気づかせるシステム
…と言えばいいのでしょうかね。

「相棒」には燃料計が付いていませんでしたので、道中でしょっちゅうガス欠(※「ON」状態で)をして、
燃料コックを「RES」にしてガソリンスタンドを探しながら走ったものです。

これが予備タンの正しい使い方。別名「リザーブ」



予備タンの容量は1〜4Lくらい。
車種を問わずリザーブにしてから50kmぐらい走れるように設計
されています。
50kmとは、高速のサービスエリア(SA)間のおよその距離。
高速の本線上で万一ガス欠を起こしても、次に給油できるSAまではたどり着ける算段です。


ド田舎の高速だと、給油所の間隔が100km以上の所も平気でありますけどね…。(→コラム「満タンでも走りきれない」)



ただ、ガソリン内の不純物(滅多にありませんが)や、給油時に入り込んだホコリなどがタンクの底に溜まり、
「RES」の取り込み口が詰まってしまうことが稀にありますので、「RES」はできるだけ使わず、早めの給油をしたほうが賢明でしょうね。


もちろん最初から「RES」で走っていただいても結構なんですけど、うっかりガス欠させると即、立往生ですよ(笑)。



予備タンや燃料コックがついているのは、ガソリンを気化させる装置がキャブレターの場合のみです。
車と同じインジェクションを採用しているバイクには、燃料の供給方法そのものが違うのでついていません。



「2相棒」はインジェクション車のため予備タンがありません
(※インジェクション車はガス欠させると、機構上面倒なことになりかねないと言うのもあるからでしょう)。


かわりにデジタル表示の燃料計が最後の1目盛りになると、点灯→点滅になるので、
そこからを便宜上リザーブと呼んでいます。



多くの車の場合は、燃料残量がピンチになると下の写真のように給油機のマークが点灯しますね。





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「相棒」時代のある夜のこと。

ガソリンが残り少なくなり、「RES」にして走っていました。
出先からの帰り、ガソリンスタンドは営業終了していて給油が出来ません。

車体をゆすると、タンク内部からは「ぱしゃぱしゃ」とガソリンがほとんど無さそうな軽い音。

それでも10kmほど先の家までは持つだろうと高をくくり、京都市街から山を越え、山科区に入って安心した途端、
エンジンが「ガクンガクンガクガクガク…ガクガクぷしゅ〜」と言い停まってしまいました。

ガソリンを完全に使い切ってしまったのです。
こうなったら最悪です。押していくしか方法がありません。
寒い日だったのに、汗だくになって重たいだけの鉄くずを押し、奇跡的に営業していたガソリンスタンドまでたどり着け、事なきを得ました。


後で店員さんは笑ってたんじゃないかな。
バイクを押して給油に来る客なんて、ガス欠以外にありえないからねぇ。


さらに、空ッ欠の時は、給油が終わってから、
ガソリンがキャブレターに行きわたる→エンジンがかけられるまで1〜2分くらいかかります
のでね…
スタンド内でさらに生き恥をかかされますorz


カッコ悪いったらありゃしない。