ペーパー限定解除、世にはばかる



※おことわり
このコラムは、2004年当時の内容がベースとなっていますので、現在とは数字が異なっていますことをご了承ください。



※おことわり
「パパはへーパー限定解除」と一部内容がカブっています。


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前回の項目(「運転免許で見る少子高齢化」)で、
日本国民のうち、7700万人あまりの方が、何らかの運転免許を所持している(2003年度末現在)、
と書きました。


その現行(2007年7月現在)の運転免許制度における、免許の種類はというと、

四輪免許 大型 ・ 中型 ・ 普通 ・ 小型特殊(小特) ・ 大型特殊(大特) ・ けん引 ・
二輪免許 大型自動二輪(大自二) ・ 普通自動二輪(普自二) ・原付
二種免許 大型二種(大二) ・ 中型二種(中二) ・ 普通二種(普二) ・
大型特殊二種(大特二) ・ けん引二種(け引二)


の、14種類があります。

2007年6月1日までは、四輪と二種免許の 大型・中型・普通 は、 大型・普通 の2区分でした。



では、これらの免許を所持している方は、それぞれどのくらいいるのでしょうか。
それがこの表です。

旧大型 529万0065
旧普通 7306万7707
原付 1739万8347
小特 78万5006
大特 228万9345
けん引 103万6792
大型自動二輪 1301万5933
普通自動二輪 762万2360
旧大型二種 117万4799
旧普通二種 145万9463
大特二種 4万8243
けん引二種 5万4659

この表の見方を、僕の免許証を例にとってみましょう↓



僕は、旧大型・旧普通・大型自動二輪・普通自動二輪の免許を所持していますので、
←のそれぞれ1つずつカウントしていきます。

旧普通と原付の免許を持っている人なら、
旧普通と原付を1つずつカウント。

…といった感じで集計した、
実際にその運転免許を取得した人数をさしています。



(※2003年度末現在のため、現在の大型・普通ではなく、旧免許となっています)




これでみると、試験場で原付講習を受けて原付免許を得た方は1740万人もいます。


ですが、原付は小型特殊免許のみ所持の方以外は全員運転できますので、
実際には、免許所持者の ほぼすべての人が原付に乗れます。



原付ユーザーの因子がこれだけいるとは日本全国総原付化計画を推進するのにはもってこいの土壌ですね、うん(笑)。


小型特殊は、農業高校などで小型のトラクタ(耕運機)を運転するのに、生徒に取らせることがあるそうですが、
原付以外の免許を所持していれば小特は運転できますので、単体の免許としては あまりなじみがありません。



取得者数をみていくと、上位免許を所持している方のほうが少ないのが分かります。

普通 > 大型
普通二種 > 大型二種

表の上で見ると、小特 < 大特ですが、
これは事実上「“原付以外の免許” > 大特」と取れますので、
間違ってはいません


…などなど。
言うまでもなく当然です。


ところが、ですよ。
バイクだけは、

原付(+普通) > 大型二輪 普通二輪


と、この法則に明らかに反しています。
もういちど、バイクの免許の所持者数だけ見直しましょう。

大型二輪 1301万5933
普通二輪 762万2360
原付 1739万8347


なんで、
大型二輪免許持ちの方が、
原付免許持ちの75%、
普通二輪免許持ちの倍近くいる
の??


どう考えても、バイクの免許は、
普通二輪→大型二輪へのステップアップが定番
なのに、


これでは、原付を除くバイクの免許は「大型自動二輪のみ」って方が530万人もいる計算です。

免許取得者数(7700万人)の6人に1人は大型二輪免許を持っている…?



そんなはずがない!!



いくら大型二輪免許が簡単に取れるからといっても、
いきなり大型二輪に挑戦するヤツなどそうそういるはずがない!


僕も大型バイクに乗っていますが、デカくて重くてパワーがありすぎて、バイク初心者にはオススメできる代物ではありません。


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…これ、実は、免許制度の歴史のカラクリなのです。


僕の解説よりも詳しい説明をメールにて下さった方がおられますので、以下引用させてもらいます。
お名前がありませんでしたので、頂戴したメールのドメインだけご紹介。


2019年7月25日に「@dd.catv.ne.jp」から下さった貴方です。ありがとうございます。


------以下引用------


大型自動二輪免許のからくりは、
昭和39年(1964年)まで存在した軽免許(2輪≦250cc、3・4輪≦360cc)にあります。

軽免以上の免許(自動二輪、側車付き自動二輪、自動三輪、小型四輪、普通、大型)を取ると
軽自動車と原付き
(50cc、125cc)の運転ができました。


S40〜S46(1965〜1971年)の間、二輪が≦50ccと>50ccに二分された時、
それ以前の軽免許(≦250cc)でも>250ccに乗れるようになったものが
現在まで引き継がれている
ものです。

この時点から>50ccは付帯免許では乗れなくなりました。

ただしこの間に二輪免許(>50cc)を取った方は排気量制限を受けません。
S49(1974年)までに二輪免許(>125cc)を得た方も排気量制限は受けません。


------引用ここまで------


昭和39年(1964年)に車の普通免許を取得した僕のオヤジが↑のVIP待遇に当たります。
昭和41年(1966年)に車の普通免許を取得した母親は原付(50cc未満)しか乗れないのはこういう理由なのです。



昔はバイクに関しては太っ腹だったということです。
いや、それだけ大排気量のバイクが少なかったのでしょうね。



自動二輪免許が「小型限定」「中型限定(中免)」と、
いまや伝説となっている「限定解除」の3区分に分けられたのは1975年のことです。

そして、現在の「普通二輪」「大型二輪」への流れへと向かっています。



これらのからくりを現在の免許制度に言い換えると、

1959(昭和34)年以前に生まれた方なら、いきなり排気量限定なしの自動二輪免許が取得出来、

1947(昭和22)年以前に生まれた方なら、普通免許の取得すると、排気量限定なしの自動二輪免許がオマケでついてきた
のです。


2005年現在、

1959年生まれの方で、46歳、
1947年生まれの方で、58歳です。

そして、日本の人口で一番多い世代は、50歳代、ついで40歳代です。

もう、これ以上の説明は不要ですね。


現行の大型二輪免許保有者の大半は、
昔の制度の下で楽に運転免許を取得した方
だということ。

だから、高齢者が100ccクラスのスクーターに乗ったりしてるのをよく見かけるのは、その恩恵を受けているから。


大型二輪免許保持者は毎年10万人以上のハイペースで減少しています。
昔の制度の免許持ちの方が亡くなられたりしてるからですよね、きっと。




ううう(涙)、何ということだ。
教習所に大枚を寄付して、普通二輪(当時の「中免」)→大型二輪へと免許を取った僕には、くやしい、の一言です。



高齢者の中には、せっかくの「大型二輪免許」を
タンスの肥やしにしてる方だって少なくない
でしょう。
こんなのインチキですよ、インチキ〜!!


免許をタンスの肥やしにするくらいなら、バイクの免許を取得に行く金もないビンボーな若者に、還元してやって〜。



参考資料:「栗田君の自動車運転免許獲得記」 www9.plala.or.jp/hiyotrio/