LEAD50、残酷の2乗




腹ペコえいまる」の中の「悪魔のゲート」を読み起こしていただいてから、続きを読んでください。



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「原付でワインディングを楽しもう」をコンセプトに、今日、走ってきました。


前日に、鈴鹿山脈をまたぐ「鈴鹿スカイライン」を走って、「湯の山温泉」を目指すことにしようと思い立ち、
早速決行。


日は、2002年6月16日
天気、曇り。午後、にわか雨の予報。雨男ぶりを発揮しそうな予感。
それも、近畿地方と中部地方の間に大きく居座る 鈴鹿山脈を越えるとは…。



僕の気まぐれに、またしても付き合わされることになったバイクは、わが母親のLEAD50
僕の気まぐれに、付き合わされることになった人は、いません(笑)。独りぼっちの旅です。




母親のLEADを使うのには抵抗がありました。
かつて、六甲山に行って以来、調子が怪しく、母親にもそれがバレちゃってるので、
「母親が乗ってて故障しても僕のせい」に自動的になってしまうし、走行距離も2万km弱。ボチボチ怖い……。
だから、お山に連れて行くのには戸惑ったんですけど、弟のDioは小さくて乗りづらいし、ええい、ままよ!と決めました。



9時、タオルをもって、いそいそと出発。


往路(東向き):京都市内→R1東進→滋賀県栗東市→R8→滋賀県日野町→R307→R477(鈴鹿スカイライン)・武平峠(標高815m)→

         →三重県・湯の山温泉→四日市市→R164→伊勢湾

復路(西向き):伊勢湾→R164→R477→三重県菰野町→R306北上→三重県大安町→R421西進→石榑(いしぐれ)峠(標高690m)→

         →滋賀県近江八幡市→R8西進→R1→京都市内




滋賀県内を快調に走ってると、約3台の白バイに出会う。しばしランデブー
うううう(涙)、30km/hなんかで走ってられっか〜!と、法定速度+αで急発進・急加速・急ブレーキして、ワザと目立つように走ったら、
白バイに横に並ばれた。


「しまった!」と蒼い顔になった僕に、
「もっと控えて走って!」と声をかけられました。



了解了解、分かってますって。さすが同じバイク乗り、理解あるやん
やっとの思いで手に入れた「ゴールド免許」を、そう やすやすと手放してたまりますかいな。



以後、おとなしく走る…わけは無く、一人なので、気ままに飛ばす。最高速は60km/hやけど(笑)。



滋賀県・水口町から、R307の有料バイパスである「日野・水口グリーンバイパス」というのがあり、それを走ろうとしたのに
曲がるところを間違えて、1kmほど離れたR307の本線を走ってしまい、バイパスと合流するところから、バイパスを逆走。
気づいたら、元の位置に戻っていたという、大失態を犯す。
要するにU字型に走ってたわけ。往復の通行料40円と、25kmのロス

案内標識が不親切なせいや〜〜!!!40円返せ〜!!


やっとこさで着いた「鈴鹿スカイライン」。
御在所岳
(標高1210m)をまたぐ山岳路で、峠にあるトンネルの両側に展望台があります。

ここのワインディングは、それなりのバイクでなら、とても面白い道で、
事実、結構な数のツーリング集団を見かけましたし、レーシングスーツに身を包んでる人もいましたからね。



でも、でも、
 50ccでは加速してくれなくて、コーナリングどころか、エンジンの苦しむ音
「壊れる→弁償」の図式が頭をよぎり、
標高が高いので長袖の薄いシャツ位では寒くて震え、空はいつの間にか曇天模様
半泣きになりながら峠を目指しました。



 


ようやくたどり着いた峠から、「ツーリングマップル」に書かれた「壮観」な風景を眺めよう!と
展望台に行くと、
ガスがかかっていて、何も見えない

打ちひしがれながら、急高配の下り坂をカーブでオーバーランして対向車とディープキスをしそうになりながら、
メーターを振り切りながら走り、
ふもとの第2の目的地、「湯の山温泉」に到着。



「ヘルシーパル湯の山」(入浴料:525円)で汗を流し、
気持ちが良かったので長湯をしたら、風呂から上がっても汗が止まらず、
何のために入浴したのか分からなくなる。
地図を見たら、ここから海までが近いことが分かり、行ってみることにしました。
初めて「原チャツーリング」をしたとき以来の「伊勢湾」へ!


そして、着いた海は「中京工業地帯」の真っただ中の、
辛うじて潮風でそれと分かる程度の海。
でもまぁ、海は海や。地元の近くに海が無いから、これでも十分……(負け惜しみ)。




時間が無いので、たそがれてるひまも無く、即Uターン。




金も無いので昼飯は吉牛の「並」→  悪燃費ボディを持つ僕には満たされない食欲。



セルフの安いスタンドでガソリンを入れて、ご満悦やったのに、すぐ先にさらに2円安いスタンド発見。
理不尽やー!!

同じ道を引き返したくは無かったので、かねてから考えていた、アソコヘ進路を向けました。

問題の、R421・石榑(いしぐれ)へ。


知ってのとおり、三重県側は「酷道」なので、誰か他の人を連れて行くのには 
気が引けていたんですよね。


なので、自分ひとりが犠牲になるだけですむなら 安いモンや(LEADも道連れやな(笑))とばかりに挑戦!


……思ってたほどでもなく、峠に到着。
確かにスピードは最悪で20km/hを割り込んだけど。
ふもとから峠までも、距離的にも短いので、これなら大丈夫です。多分。



峠では、やはり、クルマが幅2mのゲートをくぐり抜けるのに苦戦していて、
見ていて楽しかったです。とっても他人事状態の僕。


誰かが擦ってくれるのを期待してたのに、誰も擦らない
道中ですれ違った車もボディーに傷は無し。
面白くない。



1台だけ、猛スピードでゲートを突っ切った、バカップルの乗ったセダンがいました。
何様のつもり?!!



ここからの展望も期待していたのに、さっきよりもひどい空模様
雨もポツポツきたので、仕方なく下山しました。



そのあと、コンタクトレンズがずれるなどのトラブルに見舞われるも、それ以外は無事に帰宅。

自宅到着は17時過ぎ。
走行距離は241km、平均燃費は31km/L でした。





やっぱり自分ひとりやと全開走行が多くなるからなぁ。


こんどこそ、母親のLEADで山道を走るのは止めといた方がいいかもしれないと、つくづく思いました。
前よりマフラーの異音が大きくなってるし……。


おれの運命に「成功」の文字は無いの…?



おことわり:このコラムはかつて存在した「酷道」と呼ばれた国道421号の峠道を取材したものです。
この道は災害により通行止めとなり、後に2011(平成23)年3月26日にバイパスが開通したため廃道となっています。