五山送り火を追え!!




今年もやってきた、京都の夏の終わりの大イベント「五山送り火」


私にとっては、時間差で点火される送り火を原チャで順番に拝んでいく恒例行事だ。


今年で4回目で経験値が豊富な私だが、意外や意外、なかなか難しい。


去年はあった建物がなくなって、今まで見えなかった場所から見えたり、
逆に今までは見えていたのに、大きな建物が建ち見えなくなってしまう
こともある。


人の流れや交通事情も考慮し、抜け道のチェックなど、難問は続く。
ましてや、去年のように、初心者の「真宗Jr」こと「T」の言動に惑わされ、ムキになったりすると確実に失敗の道を歩むのだ。


これは、五山の送り火を全部見とどけないと気が済まない、エエ歳こいたおバカさんが繰り広げる、壮絶なドラマである。

(↑ここまでは 「プロジェクトX 」 のナレーションで読んでね(笑))


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2005年8月16日、19時30分。母親が弟のDioで、僕が母親のLEADを拝借して、
それぞれ「送り火追っかけレース」を開始しようとしていました。


ところが、際になってから弟が「これから原チャで出かける」とぬかしだし、
母親が自分のLEADに乗るというので、僕は向かいの家の(元・我が家の)LEAD(旧型)を借りて出発。
弟も弟や、前もって教えてくれてたらこんなに慌てずに済むのに。


この(元・我が家の)LEADはミッションの変速タイミングが狂っていて20〜30km/hで加速不良を起こす欠陥バイク。
↑については「紅葉続くよどこまでも」を参照のこと。


あいかわらずバッテリーが死んでいるので、キックでエンジンスタート。
19時40分、自宅を出発。


ポンコツLEADに鞭打ち、目指せ百万遍!!
加速不領域を抜けるとメーターが完全に振り切れてもまだスピードが出続けるモンスター仕様のため、
そのへんをちんたら走ってる車やバイクは、射程距離に入るや否や直ちに追い越し。



実は、今年は送り火を家でTV鑑賞しようかと思っていたんです。
いろいろあって落ち込んでいたため全然気が乗らなかったから。


でも、そんな気持ちは山科→京都盆地に入り、いたるところに送り火を見るための人垣が出来ているのを見て、吹っ飛んでしまいます。


いつものように勝手にテンションが上がってます。


ルートは例年の通り。東から点火順に。
今年の点火時間は

大文字 妙法の「法」 妙法の「妙」 舟形 左大文字 鳥居
20時0分 20時10分 20時10分 20時15分 20時15分 20時20分



19時55分、最初の目的地、百万遍交差点到着。
ここは京大の石垣撤去反対で、石垣の上に学生らによる「石垣カフェ」が開店し有名になったあの交差点です。
そのカフェも石垣問題が解決したことにより、本日の送り火が消えるのをもって閉店することになっていて、
周囲は明るさのなかにしめやかな雰囲気に包まれていました。
送り火の「大」が見えるのはその対面の北西側。


胸ポケットのPHSが鳴りました。
電話の主は、去年一緒に送り火追っかけをした「戦友」の「真宗Jr」こと「T」
僕が今年も実行するのを見越して電話をよこしたのでした。


いやーこのときの僕は、テンションがあがりすぎのオコチャマ状態で、
電話で何を話したか覚えてません
(笑)。


そして20時ちょうど。観衆からどよめきが。その声に東を見やると闇夜の東の山肌に「大」の字が浮かび上がりました。


皆の視線が斜め上に向いてる中、僕は交差点近くに停めたLEADに向かって走り、バイクにまたがりキック一発。
エンジン始動、行くどー!!
「戦い」の火蓋は切って落とされました。日ごろのウップンを撒き散らすべく急加速で本命の「大」見物ポイントへ。


2〜3分の後には、母親の仕事場のごく近所のポイントに到着していました。


近隣の住民が2〜30人は集まっています。メットを脱ぐのももどかしくそこに近づくと、
一番よく見える位置を車椅子の老人が占領しています。
ごめんよ!!
その前に立ちはだかり「大」に向かってカメラのシャッターを連打。
邪魔したことに頭を適当にぺこぺこさせながら撤収。


次は「妙法」の「法」を見に行くど!と高原通東鞍馬口に差し掛かると、
去年は確かに誰もいなかった場所に人だかり
が。


何が見えるんや?と人だかりの視線の方をみると、

そこには、立派な「大」が。


去年まであった建物が撤去されたことで、
視界が開け送り火がスッキリ見えるようになっていた
のです。
意外なところから見えたりするのに驚くのも、送り火追っかけの醍醐味です。


そして、いきなり道端に停められるのも小さなバイクの特権。


改めて「法」を見るでー。
高原通をそのまま北上して北大路通を西へ。
京都盆地の東を流れる高野川にかかる「高野橋」を渡りながら右を見ると、そこには「法」が真正面に。
路肩にLEADを停めたかったのですが、後続車に轢かれそうだったので恨めしそうに首を右に向けたまま通過。


そこから北泉通まで北上。北泉通を西に向かうと、途中で「妙法」の「妙」がこれまた真正面に見えます。
以前、わざわざ大混雑している北山通から「妙法」を見たのがアホらしく感じました。
確かに北山通からだと、本当に目の前に見えるのですが、いかんせん近すぎて文字には見えないのです。


ここで僕が「送り火追っかけレース」をしてることを知ってる友人たちにメールを一斉送信。



信号待ちで急いで打ったので、これで限界。
指先のないグローブを嵌めてるのも実はメールをするためだったり(笑)。


時間は20時15分


再び北大路通に戻り、西へ西へ。
京都盆地の西を流れる加茂川にかかる「北大路橋」付近から交通量が一気に増えます。
車の台数が増えるのは、このあたりが歩行者天国になっていて逃げ道がなくなるので、交通集中するからと思われます。

それにしても
こういう日にわざわざ車で渋滞に巻き込まれに来てる人は、なにを考えてるのでしょう?

いまこそ公共機関をフル活用すべきやろうに。


人のことなどどうでもいいや。
北大路橋から「舟形」が北西方向に見えます。
こんどはよそ見してると渋滞車両にブチあたるので、どろどろ低速で動く車を巧みにかわしつつ北西の山肌をチラチラ見るだけ。
「舟形」はコースの加減上、かなり見難いのです。もっと北のほうまで行くと完璧なのですが、それでは時間が足りなくなるので涙をのみました。
これさえ攻略できれば…!!


さらに混雑する北大路を西へ爆走。この辺は例年通り。スキあらば前へ行け!!
歩道には結構な人だかりが。「左大文字」が見えてます。
こんなときに非常識にも堂々と路駐してる輩がいて、行く手を阻んでくれます。
あとから考えたら、今は無法地帯なんやし、ドアを蹴っ(以下自粛)


北大路〜西大路間のL字カーブは手前の住宅地を通ってショートカット
ここにも人がいます。まさかこんなところから原チャが飛び出してくるとは思いもよらないのか、そんなことに構ってる間もないのか、
僕が走ってきても見向きもしません。
おいこらそこの歩行者!LEAD様のお通りやど、道を開けんかい!!


完全制覇のタイムリミットが迫っている今、殺気立ってる僕はクラクションを連打、その他の方法を考えましたが、
大人の理性がかろうじて勝りました。
たぶんそこにK察官がいたからとの説も(笑)。


20時30分西大路通に出ると、そこは北大路通より無法地帯が広がっていました。
通りの中央分離帯からだと文句なしに「左大文字」が見えることを知ってるヤローであふれています。
それどころか、中央分離帯からはみ出した大馬鹿どもが 通りを我が物顔で歩いているではないか。
雑踏警備のK察官を600人投入したと京都府Kは言っていましたが、全然足りてへんやないか。
止める人がいないので、見物客もなんでもアリです。
通りを横断する横断歩道の信号が青になった途端、通りのど真ん中まで人が押し寄せ、信号が変わるまで鑑賞してます。
あまりの傍若無人さに、歩行者を2・3人くらい轢…
たぶん分からんやろう。


僕の走っている西大路通の南行き車線は、背後に見える「左大文字」を一目見ようと振り返る車で、超ノロノロです。
その合い間を縫って走るバイクも、「左大文字」が気になるのか一様に早くありません。


僕は「左(略)」をバックミラーに映して激走の「伝統の走り」で鑑賞。
もちろん信号待ちで何度も何度も振り返って見ましたよ。


同時にメールを一斉送信。




僕のどこからこんな気力が出てくるのでしょうか。この気力が普段に生かせればどんなにいいだろうか。


円町交差点で西大路通と別れ、丸太町通りを西へ。20時34分。最後の「鳥居」を2年ぶりに見たい。
でも時間があまりない。ここが正念場なんです。

ポンコツLEADのアクセルは手首が折れそうなほどの勢いで全開のまま、走れ走れ走れー!!

しかし、ここから先には数々の信号と踏切といった数々のトラップが待ち構え、僕に襲い掛かります。


だけど、そんなものでくじける僕ではありません。

赤信号?んなもん押したら仕舞いや!
踏切?遮断機が下りてへんかったら大丈夫や!!


ここまでするのは去年の失敗が頭をよぎるからです。スンマセン。


円町交差点から5km。前方の歩道に人だかりが見えてきました。
完全制覇の時は近い。

20時40分、LEADを道端に停め、
進行方向右側の山肌に浮かび上がる「鳥居」が僕の瞳に焼き付いていました。
これをもって2年ぶりに送り火を制覇したのです。
緊張していた何かより開放され、体の力が抜けていくのが分かりました。




「戦い」の最中にメールを送っていた相手、「光姫」と「T」に成功の電話報告。
「今、鳥居を見ながら電話してるよ〜」
「光姫」はずっと南の西大路五条から、「T」は大阪の仮住まいでTV鑑賞していたそうです。


火が消されるまで10分間も眺めていられました。
いつもいつも駆け足で見て回ってるので神がかりな儀式ってことを、またしてもすっかり忘れていました。
メットも脱がずお祈りをすることもなく…。
いつか送り火とともにあの世に帰っていったおじいちゃんおばあちゃんから罰が下りそうな気がしてなりません(笑)。


来た道をとぼとぼ戻り、最初の百万遍交差点に来ると、
さっきまであった「石垣カフェ」は約束どおり学生たちの手により解体されていました。


京都市街→山科への峠道は五山の送り火鑑賞からの帰宅の車で大渋滞を起こしていました。
渋滞を潜り抜け無事帰宅し、LEADを向かいの家に返却。
全行程2時間・46kmの一大イベントは今年も無事故で終えられ満足。


しばらくして母親も帰宅。また「鳥居」だけ見損ねたようです。

「鳥居」難易度高し!!


オフ会の企画のひとつにしたらきっと盛り上がるのでしょうね。
振り返るごとに人数が減ってそうですけど(笑)。