原宿に散った「未来型二輪車」




我が家に 頼みもしないのに届けられる通販雑誌の裏表紙に、変わった乗り物が載っていました。
2002年11月にアメリカで「夢の発明」として発売された充電式電動二輪車



普通の二輪車は、車軸が2軸あります(2つの車輪が一直線に並んでる付いているのですから、当然ですね)が、
この乗り物は何と1軸です。車輪が平行についていて、立って乗ります。


常識で考えたら、こんなものは、すぐにバランスを崩してコケてしまい、乗り物として機能しないはずですが、不思議とコケません。
この乗り物の名前は「セグウェイ(Segway)」といいます。




紹介文を転載させてもらいます。

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足の代わりにタイヤ、筋肉の代わりにモーター、脳の代わりに集積回路(CPU)、
三半規管の代わりに精密な5つのジャイロセンサーを搭載した、
全米で大ブレーク中の超話題マシン「セグウェイ」。


前に進もうと少し傾いた微妙な動きを感知して、スーッと前進し始めます。

ゆっくり歩きたいと思う体の傾きと、急ぎたいと思う傾きの微妙な違いを察知して、
まるで意思が伝わっているかのように進みたい速度で動くのです。

自分の体に同化したように動き、舗装や土道、傾斜や濡れた道などさまざまな地形に対応。



アメリカの警察や、救急医療技術者、郵便配達員も利用しているほどの
高性能で利便性の高い次世代トランスポーターです。

(略)誰でも楽しめるよう表示や操作は単純化されているので安心して乗ることができます。

(以下略)
掲載雑誌

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↑の説明は、一輪車に乗れる方なら理解しやすいと思います。
一輪車はペダルを漕ぐだけではなく、手でバランスを取ったり、コケるのを防ぐために体を少し前に傾けることで走らせますが、
セグウェイはそれらを忠実に再現しています。
だからコケません。


僕は一輪車に乗れますので、セグウェイの理屈は納得がいきます。
それを機械が制御するのですから、世の中進歩したなぁと手放しで感心しちゃいます。




ところで、セグウェイは2001年、開発段階からインターネット上で「謎の発明」として注目を集めていました。
僕も登場当初から興味を持っていた乗り物でした。



「子どもでも転倒しない」のが売りでしたが、
2003年6月にはブッシュ米大統領(当時)が休暇中に試乗して、転倒する場面が米メディアで紹介されています。

2004年初頭現在、世界の頂点に立った気分にいるこの男のバランス感覚は、子供以下ということです。
アンタには二輪より、四輪の車椅子のほうがお似合いやで(冷笑)。




この面白そうな乗り物は、家庭用100V電源から充電でき、8時間充電で30kmも走れるそうです。
最高速度は20km/h、16km/h、8km/hの3段階に設定でき、
定格出力は1.5kW
総重量は、ちょっと重たい、38kg。
タイヤは、豪勢にミシュランを履いています。


気になるお値段は、91万3500円


……。
宝くじでも当たったら、話のタネに買ったら面白いかも?と、遠い目をしてました。      
でも、僕の心の底で引っかかっている疑問がありました。


そして、その疑問は正しかったと後日知る事になりました。

↑アメリカ・サンフランシスコで
郵便配達に使われるセグウェイ





2004年2月6日の新聞にこんな記事が載っていました。

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「セグウェイで原宿公道走る 整備不良で書類送検」


(略)一人乗りの充電式電動二輪車「セグウェイ」を公道で走らせたとして、
警視庁交通捜査課などは6日、道交法違反などの疑いで、
(略)輸入販売会社社長(42歳)を書類送検した。



セグウェイは、道交法で普通自動二輪車に当たるが、ブレーキやライトが装備されておらず、
警視庁は道交法162条の「整備不良車両の禁止」違反と判断した。



会社社長は「米国と同じように日本でも公道を走れるようにしたかった。道交法を変えたかった。
せいぜい罰金刑くらいだと思った」と話しているという。



調べでは、会社社長は昨年(2003年)7月9日、東京・原宿の「竹下通り」で、
セグウェイ2台を販売PRのため、イベント担当者に運転させた疑い


(以下略)
セグウェイ

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僕は、以前にHP上で取り上げました、電動キックボードが「原付扱い」になるのと同様に、
セグウェイはモーターの力100%で動くので、
「原動機付きの乗り物」ではないのかと思っていました。


まさしくその通りでしたね。



しかも、電動キックボード以上に問題があります。
セグウェイの走行性能です。
モーターの定格出力が1kWを越えているセグウェイは、
エンジンで言うなら125cc〜400ccクラスのものに該当している点です。



当然、普通二輪以上の免許を所持しないで乗ると、無免許運転になってしまいます。



電動キックボードが、おもちゃに毛が生えた程度なのに対して、
セグウェイは、本場アメリカでは、警察や郵便配達でも使われているほどですからね。
ニポンの法律にのせると、立派なバイクのひとつといっても間違いではないでしょう。
だから、書類送検ってことになったわけでしょ。



その後、この社長は2004年4月9日までに略式起訴され、罰金50万円の略式命令を受けています。
運転したイベント担当者2名は起訴猶予(無罪)になっています。

略式起訴した東京区検は
「公道で(セグウェイを)使用した場合は、今後も厳しい姿勢で臨む」
としています。



結局、ニポンの法律では、公道では「変わった乗り物」には乗れないということです。
それはそれで寂しいですけどね。
ちなみに本場のアメリカでは、セグウェイで公道を走っても良いという法律が可決・施行されています。




で、冒頭で紹介した某通販雑誌には、
セグウェイで「颯爽と風を切って走っていけます。街の視線があなたに釘付けになることは間違いなし」とは書いてあっても、
「公道で乗ってはいけません」などとは どこにも書かれていません。

そりゃ街行く人たちは、セグウェイに乗った人に釘付けになると思うで。K察にしょっ引かれたシーンで(爆笑)。



でもやっぱり、乗ってみたいので、そのためには、お値段からゼロをひとつ取ってください(笑)。
それから、変わった乗り物にも柔軟な対応ができる頭を持ってね。選挙で勝つことだけしか能のないあなたたちだ!!





ところで、先日(2005年11月)来日したブッシュ米大統領から小泉首相(当時)へ、セグウェイがプレゼントされました。

この新聞記事を見てください。
夕刊の1面にでかでかと載せられていたこの写真。


郵便車が停まっているということは、
公道じゃないの?



動かぬ証拠をニポン中にさらして、
もう逃げられへんで。



こら警視庁!!とっとと このアイパーオヤジを道交法違反で検挙せんかい!!

ついでに原宿でしょっ引かれた輸入販売会社の社長もこの場に連れてきて、好きなようにさせておやり(笑)。



首相も池のそばでバランスを崩しそうになったそうです。
大統領と同じように転んで、そのまま池ポチャすればよかったのに(冷笑)。



さらに、全てのセグウェイがリコールされました。どうやらバックドロップをするらしいです。

アメリカが誇る乗り物は、大概アバウトで問題を起こしますが、
セグウェイも例外ではなかったと(嘲笑)。



アイパー丸投げ無責任小泉のと、裸の王様ブッシュのは直さなくていいからね〜〜。
バックドロップ食らって頭打ったら、もう少しマトモな人間になれるだろうから(笑)。



時は流れ、日経ネットにこんな記事が↓

つくば市、ロボット特区に 「セグウェイ」も公道OK



 茨城県つくば市は29日、人が乗って走行するロボット
「搭乗型移動ロボット」の実証実験特区の認定を内閣府から受けたと発表した。


国内で初めて「セグウェイ」などに代表される1人乗り移動ロボの公道走行が可能になる。
早ければ今夏にも走行実験が始まる見通しだ。


 つくば市はまず、つくばエクスプレスつくば駅と研究学園駅からそれぞれ半径2キロメートル圏を実験エリアとして設定。
不特定多数の人や車が行き交う場所で移動ロボットを市民らに使ってもらい、ロボットの使い勝手を確認する計画だ。



セグウェイがニポンの公道を走れる日がついに来たのです。
走行できるエリアはとても限定的ですが、それでも、「セグウェイはアカン」の方針が崩れた意義は大きいです。

さすが、1985(昭和60)年に科学万博を開催した つくば市だけあります。
誰でも乗っていいなら、ぜひ行ってみたい!


参考: 京都新聞 2004年2月6日付夕刊/4月10日付朝刊
「培倶人(ばいくじん)」Vol 13(エイ出版社 2004年2月発行)
毎日新聞 2005年12月16日付夕刊
京都新聞 2006年9月15日付夕刊
日経ネット 2010年2月3日付 
www.nikkei.co.jp/news/main/20100129ATDG2904E29012010.html