踏ん張れ、スポーツ三輪!
こんな「バイク」に乗る機会に恵まれました♪
3輪の大型バイク、ナイケン(NIKEN)やッ!
ヤマハが放つ、前輪が2輪…LMW(Leaning Multi Wheels)と呼んでいるシリーズ、
トリシティ125(→コラム「国内初?!自動三輪車」)、トリシティ155に続く第3弾でして。
2007年にピアジオの「MP3」(→コラム「逆トライク」)から始まった3輪のバイク。
いままでに販売されたモデルは、どれもこれもスクータータイプばかりでしたが、
ナイケンは大型クルーザーのカテゴリに属するスポーツタイプのMT車です。
モーターショーで参考品としてお披露目されたとき(→コラム「最先端の10日間」)、
これ、本気で市販するのやろうかと思っていたら、3年後の今、ホンマにリリースしてくれましたわ。冗談じゃなかったんですね。
行きつけのヤマハのバイク屋さんから「試乗車ご用意してます」とダイレクトメールが来てまして、
人生初の3輪バイクに乗る日がついにやって来たというわけです。
さて、ナイケンとご対面。
第一印象は、「デカい」。
大型クルーザーに分類されるのもありますが、前が2輪のためボリュームがあります。
跨ってみると、逆三角形のタンクの主張が強く、股が開いてニーグリップがしにくいです。
ハンドル幅が若干広いかな。(バーハンドルに慣れてないせいかも)。
フロント周りもヤケに広く、車のインパネみたいになっています。
付いてるのはスマホサイズのフル液晶デジタルメーター。速度だけは見やすかったです。
着座位置が高く、僕では、両足立ちだと足先が辛うじて地面に届くくらい。片足で指の腹が着く程度です。
まぁ、足が着かんでもエエか。3輪やし、コケへんやろ。
と足元を見ると、サイドスタンドがあるではないか。
どうして?不要ですやん。
すると、店員さんから信じられない答えが返ってきたんです。
「ナイケンは自立しないんですよ」
ええええ??!!このバイク、3輪やのに立ちゴケするのー?!
「はい、それだけでなく、30km/h以下であまり倒しすぎるとコケますし、
取り回し時に車体を傾けすぎてもコケます」
なんちゅうバイクや。コケへんのが売りと違ったんかい! (゚Д゚#)
こんなバイクをコカしたら起こせる気がしないがな orz
あとから知ったのですが、先発のトリシティも自立しないんですって。
その辺はあくまでも2輪仕様のようです。
それってバイクユーザーを騙してることになりません?(→コラム「バイクに乗りたくない理由」)
とりあえず走ってみるか〜。
店員さんに「自由に走ってきてください!」と送り出されたものの、
コケたらどうしようとビビりながら、よろよろと車道に出ます。
ところが、その心配をよそに走り出してみると、案外普通にバイクです。
まっすぐ走ったり速いコーナリングでは2輪とあまり違いを感じず、
これが3輪ということを忘れてしまいそうでした。
エンジンは直列3気筒・850cc。
直3のエンジンも初体験でしたが、ツインほどエンジンの鼓動はなく、
滑らかさは調整されているのか4気筒なみにスムーズです。
モードセレクトが出来、一番パワーを抑えた設定にしていましたので、出足は400ccクラスくらいですが、
加速はさすがに大型です、グッと地面を蹴って力強く伸びていきます。
対向のバイクの人たちが僕の姿を「なにアレ??!」って顔で見ていくのが愉快でしたよ(笑)。
こんなバイク見たことないでしょ。だって受注生産で、ほとんど流通してないんですもん。
フロントが2輪だとグリップ力も増し、重量もあるため しっかりと踏ん張ってくれますので、
2輪のバイクではフロントが滑って転倒しかねないシチュエーション…、
ちょっとした段差や、雨天など滑りやすい路面のような場面では、抜群の安定感を披露してくれます。
そこが3輪バイクの最大の「推し」だそうです。
イオンの駐車場でナイケンを停め、色々観察。
ミラーが車のフェンダーミラーのように前方にあるため、
バイクのミラーの欠陥である「自分の腕が写る」ことはなく、後方をしっかり捉えてくれます。
ただ、慣れてないので距離感が掴みにくく、走行中は直接後方を確認してました。
フロントフォークが片側につき2本ずつ突き出しています。
しかも、フォークの下端が縁石より低いため、
「『最初に当たるのはフロントフォーク』なので、
道の端っこに寄せるときは気をつけてください」と注意されました orz
路肩に止めるときはかなり慎重に寄せないとガツンとやりかねません。っていうか設計ミスやろ。
フロントの重さの裏返しで、取り回しに力が要ります。
足にしっかり力を入れて体全体を使わないと押し歩きも厳しい。
ハンドル幅が広くて取り回しがしにくいのにコケる心配もしなけりゃならないなんて、更に厳しいわ。
あと、駐輪は「足元」が場所をとりますので、
駐輪場ではなく車のスペースに停めましょう。(→コラム「華麗な『前足』のつまずき」)
その前輪は、タイヤサイズが120/70R15。こんな中途半端なタイヤ、普通に売ってるのか?
正面からの顔つきがスーパーのショッピングカートみたい(笑)。
そんなことを感じながら、イオンの駐車場をよろよろと走り出し、店に戻り、10数キロの試乗は終わったのでした。
トータルの感想ですか?
カラーリングを含めたトータルデザインはさすがヤマハと思わせますが…、
うーん、このバイク、いったい何のために作ったんでしょう。