国道9号激走・12時間耐久ドライブ




僕のHPに度々出てくる「“最”悪友」「真宗Jr」こと「T」を改めて紹介します。


「T」はもともと旅行好きで、僕が旅行好きになったのも、彼の影響を受けた経緯があります。
彼は、大学時代の最初のころまで国内電車旅行専門でした。


その彼が20歳の時、初めての海外旅行で1ヶ月間にも及ぶ中国旅行に行ってからというもの、
アジア地域の旅行にハマり、
時には「“極”悪友」「西(仮名)」を道連れにして、世界をまたにかけた恥さらし行脚を繰り返しています。
渡航先から送られてきた手紙は全て残していますが、今読んでも爆笑もんです。
文字通り、「旅の恥はかき捨て」やね。

…背後に殺気を感じたような(笑)。


頼むから、ニポン人が誤解されるマネだけはしないでくれ〜!!(笑)


社会人になった今でも、2人は暇を見つけては旅行に行っています。
その一環として、僕は「T」と「原ツー」をしています。
思えば長い縁だなぁ。

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ある日、その「T」が、
「車で下道を24時間走り続けたら、どこまで行けるか。やってみたい」と、唐突に言い出しました。


「京都から下道を東へ24時間走り続け、たどり着いた所で1日遊んで、
翌日に高速を使って帰ってくる」
が、「T」の立てたプランでした。

京都から24時間なら青森までいけるだろう、と。

あいかわらず、僕の頭では考えもつかない事を言ってくれるなぁ。


ところが、これでは最低でも3日必要になってしまう。
「金・土・日」か「土・日・月」のどちらかになりますが、「有休が取れない」の声が上がり、保留になってしまいました。
「有休の取り方が分からない」なんていう輩までいるんですよ。働きすぎやで。
自由に有休が取らせてくれる、ありがた〜い職場にいる僕には信じられません。


だから、この企画は没になるなぁと内心思っていたのですが…。


懲りない「T」は、それでは、半分の「12時間ならどうか」と言い出し、
「それなら土曜の夜に出発したら、日曜の夜には帰ってこれる」
と、急きょ「12時間耐久ドライブ」の実施となったのです。



時は2003年8月2日夜。
友人「岩」(仮名・当HP初登場)の実家の駐車場に集合。
参加者は、
僕、
「T」、
「西(仮名)」、
「勝(仮名)」と、その妻「柳(仮名)」、
「岩」の6人。



全員、僕と同い年。



「T」「勝」「岩」の3人とは高校からの縁で、「西」とは中学からのクサレ縁。
何が起こるかわからない(何を起こすか…が適当かな)6人組と呼んでもらおうか(笑)。


車は「こんなムチャな企画に自分の車を使いたくない」ので、
オリックスレンタカーでステップワゴンを「24時間」借りました。
レンタル代は保険料込みで1万7000円也。高いのか安いのか良く分からない(^^;)


僕は遠慮願いたかったのに、いつの間にかエントリーされてました(涙)。


今回の目的はただひとつ、「国道9号線を西へ12時間走り続けてどこまで行けるか」!!


この6人が集まると、いつものことですが、子供のようにハシャイでしまいます。
ハイテンションのまま、京都市山科区を21時半、出発。
翌朝9時半まで、走りまくるぞ!!



それぞれが仕事で忙しいながらも、時間を見つけてはちょくちょく顔を合わしてる6人なのに、
よくまぁこれだけ話題があるなぁとあきれるほど、道中は喋りたおし。


15分ほど走り、京都市の中心部、堀川五条を通過。ここがR9の起点です。
ドライブは本番に入ります。
こんなにハイテンションが続くわけがない…と冷めた目で見ていた僕でしたが、
深夜になり、郊外を抜けても連中は大声で喋りっぱなし。
こいつら、喋るのが生き甲斐か?!
僕は眠くなり、少し寝たいのに、奴らの喋り声がいやおう無しに入ってきてちっとも寝られない(涙)。


京都府丹波町を抜けると、これが一桁国道か?なくらい車と出会わなくなり、飛ばし放題に。
時間との勝負なので、遅い車が前を走ってると、誰からともなく「抜け!」と。
スピード狂(?)の「勝」は、中央車線が黄色のラインだろうがお構い無しに反対車線に飛び出し、
レンタカーなので、構うことなくエンジンをレッドゾーンまでブン回し、一気に抜いてしまう。
乗ってるおれ、ムッチャ怖い。自分の車を運転してても、ここまではしないぞ的 暴走。


空を見上げると、満天の星。普段はこんなに見えないよなと感動しました。天気がよかったのもあったでしょう。
そう思っている間もステップワゴンは暴走を続けます。気が抜けない…いや、「勝」の運転を信用してないわけじゃないよ(笑)。


運転は交代でするはずだったのに
「勝」が「昼寝したから目が冴えてる」と、一気に鳥取県まで5時間・250kmを運転してしまいました。
走り過ぎや!


続いてハンドルを握ったのは、僕。
草木も眠る丑三つ時をはさむ、深夜2時半〜5時まで運転。眠いのに…。
鳥取県内で初給油。リッター10kmをマーク。6人乗って、エアコンつけっ放しでこの数字。
燃費が2桁に乗るとはね。やるやん、ステップワゴン!
「勝」とは対照的で、慎重な運転の僕に、「勝」は不満そう。
たとえ1mでも距離を稼ぎたいので、休憩も最小限。缶コーヒーを飲んで元気が復活したらすぐに車に乗り込み、ドライブの続きです。
「T」が急かすんやもん…。


運転しながら、夜明けを経験しました。徐々に空が白んでいくのを見たのは久しぶり。気持ちがいいものです。
「12時間」の縛りさえなければ…。


連中のお喋りは止まることを知らず
特に、後部座席を占領している「T」と「西」は漫才並みのペースで喋り倒したまま。
きっと、世界をまたにかけた「恥さらし行脚」でも、こんな調子だったんだろう…と容易に想像がつきます。


黙るってことを知らんのか?

見せしめに写真を載せたろかいなぁ。


そして島根県に入り、「耐久ドライブ」運転のトリを飾るのは「岩」。
一番のクセモノでした。
「勝」の運転より怖い。その運転は自分ひとりのときだけにしなさい!的。
また事故るぞ!
だから、レッドゾーンまでエンジンを回すなって!


さらに、タイムリミットが迫ってきてからの「岩」の運転は、鬼気迫るものがあり
9時半のタイムリミット時には、前をチンタラ走ってる山口ナンバーのプラッツを「どけ〜!」と抜こうとするさま。
だから、京都ナンバーのレンタカーで地元の車をアオるな〜!

結局、12時間で走行距離606km、山口市まで来れました。平均時速50km!
もし、これがR2を走っていたなら、同じ距離で九州上陸も出来ていました。
まぁ、交通量が多いR2のこと、そこまで走れないでしょうけどね。


6人の目的はこの瞬間、達成されました。
そこに車を停め、記念写真撮影。12時間も車に乗りっぱなしだったのに、6人とも元気元気。
テンション高いまま。
後は帰るだけです。


え? 遊ばないの?って疑問の声が上がっても何ら不思議ではありませんが、遊びません。帰ります。

僕たちの「遊び」って、いつでもこんな感じなんですよ。

「ヒマやの〜」のせりふは聞きなれてます(笑)。

でも、これが最高に面白い。

この面白さは言葉では到底伝わりません。達成した者だけが分かるものです。

だいたい、観光案内所で名所を聞いても「何もない」と言われるんですよ。山口市、やる気ありません(笑)。


でも、この日は例外が1つ。
JRで「SLやまぐち号」が運行されると言うので、沿線へ車を走らせました。
たどり着いたその場所は、住宅地の中。
SLが走るのを知ってか知らずか、沿線の家のベランダには洗濯物がたくさん干してあります。


程なくしてSLが僕たちの目の前にやって来て、真っ黒な煙と汽笛を残して走り去りました。
機関車の無骨さが「男」とか「たくましさ」を感じさせ、シビれましたよ。電車なんて目じゃないね。
「岩」が携帯で撮った写真を載せておきます。きれいに写ってるねぇ。

↑「岩」携帯で撮影

↑僕のデジカメで撮影


だけど、この写真が撮れたということは、携帯の画面に収めるのに夢中で、ナマでSLを見てないんじゃないの?(笑)。


それから、沿線のベランダに干された洗濯物は、みんな煙まみれになりました(爆笑)。
オバちゃんらが出てきて文句を言い合っていました。
沿線に住んでるならSL通過時間は調べてとけよ。


適当な店で昼食を取り、小郡ICから山陽道に乗り一路京都へ。ここでドライバーは「岩」から、僕へバトンタッチ。
山口JCTから中国道へ。
制限速度が100km/hの山陽道ではなくて、わざわざ制限速度80km/hの中国道を選んだのは、
空いてるし、道が曲がりくねっていて、走り込めるから。ハンドルを握る僕の独断で決めました(笑)。料金も一緒やしね。


適度な勾配やコーナリングが、僕を刺激します。これほど走るのが楽しい高速は無いだろうなと思わせるほどです。
走るのに夢中になっている僕でしたが、さっきまでのお喋りはどこへやら、車内が異様に静かなのに気付き、ミラーで後部座席を見やると、

全員死んでいました。起きているのはおれ一人(-_-##)


腹いっぱいで眠たかったのはどこへやら、僕一人目がさえて走り倒しています。
2時間以上運転していましたが、そろって死んだまま。
たまに「勝」が のそのそ起きてきてルームミラー越しに「運転代わろか」と言ってきますが、
「べつにエエよ」というと、再びミラーの視界から消えてしまいます。


中国道サイコー!
ああ「2相棒」で走りたい!!
とバイク乗りの自分が顔を出します。車も全然走ってないし。
山口→岡山間でバックミラーに車が映ったのはわずか5台ほど。
前には車は1台も走ってない。
山の間を縫って走るこの高速を走ってると、ここが日本だという感覚を忘れてしまいます。
ここを一度でも走ったら、混み混みの名神など走ってられませんよ。


その後、ペーパードライバーの「勝」の妻「柳」がハンドルを握る。
1台も車が停まっていないPAで車の動かし方を練習。え、練習が必要なの?!
駐車場を怪しく走って、こっちへ嬉しそうに手を振ってる。ひえぇ(怖)。

コラムシフトの使い方どころか、そもそもシフトレンジの意味を忘れてしまっている模様。
きわめて不安。
それでいきなりカーブだらけの中国道を走らすか?


助手席に、夫「勝」がついてアドバイスしてるけど、違う意味で、暴走族「岩」の運転より…(ToT)。
こんどは夫の赤いスポーツカーで練習してから挑戦してね。


次に、普段あんまり運転はしないと言いながらも「西」が運転。
他の5人にとって「西」の運転は初体験なので、どんな運転をするのか分からない。
助手席の僕が一番不安。
自分の運転以外、みんな怖がってないか?のツッ込み厳禁(笑)。
それは杞憂に終わった。ヤツのマシンガントークばりの運転をするのかと思いきや、多分一番そつなかったのでは。
運転中の「西」は今まで以上に寡黙になってしまい、面白くない。


最後は「岩」「勝」がそれぞれ運転して、無事京都に到着。19時になっていました。京都まで6時間で走った事に。

非常に楽しかった。楽しかったよ。


帰ってきて思ったのですが、京都を出発してから、まだ丸1日経っていません。
でも、何度思い返してみても、たった22時間の出来事とは思えないのです。
京都を出発してから、もう何日も経ったような錯覚にとらわれていました。
それだけ中身が濃かったということでしょうか。


僕たち いい歳こいて、ホント 子供のようにハシャイでますが、
いつまでこんな風に遊んでいられるんやろなぁ…と考えがよぎり、不意に切なくなりました。

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ステップワゴンを返却に行った「勝」の談話。
オリックスレンタカーの兄ちゃんがメーターを見て「1日で走行200kmですか、結構乗られましたね」と言ったそうです。
レンタカーの日帰りなら100kmくらいの方が多いそうで、200kmは まれだ、と。

やはり100kmの位までしかチェックしないか。それが普通だろうね。

そこで「勝」曰く、「山口県まで行ってきました。下道で」。
レンタカー屋の兄ちゃん、メーターを見直して、

「…ええええー!! 1日で1200km!!それを下道で?!!えげつない(「強烈」の意)ですねー」と驚愕。
「ステップワゴンで今度は青森まで行きますので」とダメ押しすると、兄ちゃんは苦笑いだったとか。

おれたち、24時間レンタルの最高記録を作っちゃったかなぁ。
レンタル料17000円のモトは間違いなく取ったね。


そして、二度と「勝」名義ではクルマを貸してくれないでしょう(笑)。

(2003.8.31)