嗚呼、原チャ三昧!(午前編) 美山牛乳襲撃事件




2005(平成17)年5月29日。天気予報は一日中晴天と伝えていました。



「2相棒」と走りに行くつもりで準備をしていると、いつもLEADで仕事場に向かう母親が、今日は電車で行くと言っています。

久しくLEADに乗ってない僕。いっちょコイツとツーリングに行くか。

そうとなったら目的地は迷わずひとつに定まりました。



京都府美山町(現・南丹市美山町)、「美山牛乳」へ!



そこは、牛乳の工場に隣接した駐車場で、特濃の牛乳が味わえます。
農協の販売所や、観光案内所も併設されていますので、美山町の拠点のひとつでもあります。
現在「道の駅 美山ふれあい広場」に昇格しています。



過日のオフ会での集合場所にしていたこの地は、ツーリング野郎共の溜まり場として有名で、
超巨大掲示板上では「殺伐広場」と呼ばれています。



文字通り、かなりの数のバイク乗りたちがカッコいいウェアやレーシングスーツなどに身を包み、
ピカピカに磨き上げたバイクを並べ、さながら品評会です。

バイクも小排気量車などは少数民族状態。大半は大型バイクです。



ここの特徴は、グループ同士でかたまるばかりで、他のグループとは全く接触しようとしない点です。
お互いに相手のバイクや格好をじいぃ〜〜っと睨むように見るだけです。
それが異様な雰囲気を作り上げています。

だから、何も知らずに個人で来た場合、他のバイク乗りたちから浴びせられる視線に耐えられず、
速攻で退散せざるを得ない…そういう感じを受けます。

それが「殺伐広場」と呼ばれるゆえんでしょう。



その雰囲気をなんとかブチ壊しに出来ないだろうかと前から考えていました。
それなら、原チャで乗り込んでいったら面白いのではないのか?

以前にもLEADで美山牛乳は行ったことがありますが、
時間か気候の加減か、バイクの台数が少なかったのかインパクトさに欠けていましたので、
今日改めてやってみようと思ったのです。



バイクシーズン真っ盛りの晴天の日曜日。バイク乗りたちがそこここから湧いてこないはずがありません。
美山牛乳は自意識過剰なバイク乗りたちで溢れかえっているに違いない!




あまりラフな格好で行くと、単なる小僧と思われるので、服装はキメました

これでバイクが「2相棒」だとバッチリですが、本日は前カゴ付きLEADで(笑)。
あまりに汚かったので家を出る直前に慌てて磨きました。美山牛乳で自慢しなきゃいけませんからね(怪)。


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9時半、京都市山科区の自宅を出発。




原チャでのツーリングでは、いつもは燃費稼ぎとスピード違反お布施回避のために控えめに走るのに、
今日は最初からアクセル全開。トロトロ走る車は当たり前のように追い抜きます。
家で服装をキメたときから完全ナチュラルハイですわ(笑)。
こんなにテンション高くて大丈夫かいな…。



天神川御池からR162周山街道へ、あとは北へ一直線に向かうだけです。
市街地を抜けるまえの貴重なコンビニの駐車場も数十台のバイクで埋め尽くされ、僕の予想通りバイク山盛りです。
お先に失礼!



僕はと言うと、上り坂と平坦路はやっぱりアクセル全開のまま。全然怖くないんですけど右腕がだるいんですよね、
ずっと手首を回したままやから(笑)。
平地でのMAXでもメーターを振り切れませんし。


かわりに下り坂はエンブレが効かないのでブレーキを掛けまくりです。
ブレーキがフェードして利かなくなったらどうしよう。
…そんときゃ足出して停めればいいか(笑)。


安物のタイヤを履いているのか、コーナリングでタイヤがしっかりグリップしてくれずフラつきます。
決してスピードが出すぎているわけではない…はず。ウン。



原チャでもコーナーが続く山道の下りでは車の流れに乗れます。
車が運転ヘタクソなのか、僕が暴走してるだけなのか…あまり深く考えないことにしておくか(笑)。



でも、全体的に難所だった周山街道は最近直線化が著しく、山道をショートカットしたトンネルが増えました。
ここではバイクはもちろん、直線番長のファミリーカーにまで次々追いつかれます。
ためらわず左ウィンカーを出し、道を譲ります。僕のウデが立とうとも(失言)まず勝てませんからね。



2度3度、追い抜きざまのバイクから「サンキュー」のポーズを頂きました。
一応ツーリング中と認めてもらえたかな?
車は当たり前のように抜いていきやがりました。バカにしたな〜(-_-x)


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「栗尾峠の展望」から旧・京北町を見下ろし、ヘアピンカーブ連続の下り坂(当時。現在は峠とカーブをトンネルでパスします)
初心者丸出しの走りでクリアして、旧・京北町の盆地に突入。

いつもならここで小休止を取るところですが、時間がもったいないのでノンストップで通過です。



「2相棒」には時計が付いていますのでそれなりに安心感がありますが、LEADにそんないいものが付いてるはずがありませんし、
PHSを持つようになってからは腕時計もしなくなったので、走行中に時間を知ることが出来ません。
ま、時計を見るまでも無くだいぶん時間を食っているだろう。



旧・京北町域はほとんど信号が無く、たまに後続車に道を譲る以外は道路を堂々と走れます。
原チャに乗ってる感じがしないな(笑)。

ずーっと全開走行。これがエンジンに良いわけがありませんが…、
なんたってナチュラルハイのイケイケモードですからね。
後ろはこまめにミラーを見て気をつけていました。理由は言うまでもありません(笑)。


いつも茂みに潜んでスピードを計っている直線区間も今日は平和が保たれています。大変よろしい!


旧・京北町〜旧・美山町境のトンネルをくぐり、森林の中をしばらく走ると、視界が開けてきます。目的地は近いです。


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そして、
来たで来たで〜赤い橋が!
ホンマにご老体LEADで美山牛乳に来れちゃったで(笑)。





走行距離58km弱。お昼ごはんの時間かな?と
圏外のPHS(※当時。現在は通じます)を見ると、何とまだ11時でした。

山科からたったの1時間半で来れたのです。我ながらびっくりです。


ん…??ということは平均時速は…、
計算しないように(笑)。
この橋を渡って左に「美山牛乳」が



外から美山牛乳を窺うと、いるわいるわ、バイク特盛り状態です。
さっきのコンビニでのバイクの数など比較にもなりません。道中で僕を抜いていったバイク達もいます。
外から見えているバイクをざっと勘定しても数十台はくだらないでしょう。



中に入ろうとすると、そのバイクのオーナーたちの視線が突き刺さります。「品定め」してるわけですね。
それに耐えられず、単独でこの場に入るのをためらう方がおられるのも分からないでもないです。



僕はいつものようにためらわず、ずかずかと突入しました。
お約束の「視線」が僕を襲います。
彼らの目にはどう映ったでしょうねぇ。

僕のスタイルはこんなのでした↓


ショウエイの某レーサーの赤のレプリカメット(シールドはフルスモークで)、
RSタイチの赤のライディングジャケット、
エトスの黒のレーシンググローブ、
アルパインスターの黒のライディングシューズ



全体に赤系統コテコテに固めた男が
京都市山科区ナンバーの前カゴ付きLEAD50で
乗り込んできた
のですから。

アンバランス極まりないです。



「なんやコイツは」って感じの観察ビームに酔いしれながら
(やっぱり病院で頭を調べてもらったほうがいいかもしれんな(笑))

大型バイクが並んでいる隙間にLEADを停めました。



駐輪する場所は、お店があって賑わう東側と、きれいなトイレのある西側があり、
それぞれバイク乗りたちの好みやこだわり(?)で「棲み分け」があるようです。
そういったことを気にしない僕は、空いてりゃどこでも停めますが(笑)。




メットを脱ぎ、横の自動販売機で特濃の美山牛乳を買い、飲みながらぶらぶら歩いて、本日のバイク乗りたちを一通り観察

今日も例外なくキメキメ連中が多うございました
自己満足のカタマリです。僕もその一人ですけど(笑)。



歩いてる僕にも、周囲からの視線が飛んできます。その誰もが奇異の目で僕を見ているのが明らかです。
変なのが来た、関わらんようにしよう、ってところですか。
僕は横目で睨みを利かせ威嚇しておきます(笑)。


本日の美山牛乳に集まってるバイク構成は、

125cc超……僕以外の全員
125cc未満…僕一人(笑)



でした。
周山街道ほど小排気量車で全開走行できるところ無いのに、知らないって損やねぇ。



LEADの持ち主である母親に、一応当初の目的は果たして美山町に着いたと電話しようと公衆電話を探しますが、
K帯が普及している昨今、なかなか見当たりません。
観光案内所でようやく見つけたそれは、ピンクのダイヤル式のものでした。

懐かしい!もちろんちゃんと母親の仕事場につながり(当たり前か)、報告すると、すごく驚いていましたが、
母親のこと、仕事が休みのときに、LEADでここまでやって来そうな気がしました。
(ちなみに、後年シグナスに乗り換えた母親は、ここまで一人でやって来てます)


再び美山牛乳で、他のバイク乗りたちにメンチ切りながらくつろいでいると、
はるか彼方から「バリバリバリバリ」と激しいエンジン音
聞こえてきました。

音のほうを見ると、なんとハーレーの大集団です!!



あわててデジカメで大集団を撮影しましたが、ここに写っているのは、全体の半分程度です。


40〜50台はいるでしょうか、
ただでさえ殺伐としたこの場所が、
わけ分かんなくなってきました(笑)。



しかもあろうことか、ヤツらLEADの周囲にハーレーを停めています



下の写真に写っているバイクは、LEAD以外は全部ハーレー。右もハーレー、左もハーレー。
ハーレーハーレーハーレーハーレー全面的にハーレー状態





やめてくれーー!!!ただでさえ浮いてるLEADがさらに変態に見えるではないか!!!!
連中が不審な目でLEADを見てるし(涙)。



これ以上はその場に居たくなくなったので(重圧に負けた、とも言う(笑))、 脱出 出発することにしました。


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美山牛乳からR162を北上するとすぐに、九鬼ヶ坂という難所の峠があり、上り坂でLEAD失速の鬼(笑)。
坂を下り美山町の市街地(と言うほどでもないが、一応中心部なので)を通り過ぎると、
あとは県境まで自然がいっぱいの中をのびのび走ります。
こんなにさわやかな風景のところをバイクで素通りなんてもったいないよ。ゴザ敷いて昼寝したいぐらいなのに(笑)。



僕、この美山町が大好きなんですよね。京都府下で都市化していない数少ないところで、
都会の喧騒に疲れた心や体を癒すには申し分ないものですから。
逆に言えば、超過疎地ってことですけど(笑)。

田舎暮らしにあこがれて移住するのが流行っていますが、
実際に都会人がこういう場所に住むと、あまりの不便さに嫌気がさすかもしれませんよ。




なーんにもない美山町と福井県おおい町名田庄(なたしょう)を隔てる堀越トンネルをくぐります。
森林の中を走った後に突如現れるトンネル。なんだか不気味です。
トンネルは1km以上の直線ですが、明かりは少なく道幅も狭く標高も高いですので年間を通して気温も低いです。
トンネル出口の名田庄側は、天候が不順で、この日もどんより曇っていました。
こんなところは一気に通り抜けるに限ります。



トンネル内を全開走行していますが、はるか後方から車の明かりが迫ってきているのがわかりました。
ぐんぐん近づいてきます。
追いついてきたのは、なにわナンバーのクラウン
トンネルを出たところで工事をしていて片側交互通行になっているところで追いつかれました。
さらに後ろには車が続いています。
譲るべきかどうか…。



結局、譲らないことにしました。
ここから先は急坂急カーブが続く、R162でも屈指の場所です。
ここなら原チャやけど僕のほうが速いだろうと踏んだわけです。


本当にそのとおりになってしまいました(笑)。差がどんどん開いていきます。
譲らなくて良かった…ってか、クラウン運転ヘタクソ!(笑)。


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屈指の堀越峠を下りきったところに、「道の駅・名田庄」があります。
ここでお昼ご飯です。丁度12時前
お腹はあまり空いていませんが、時間なので食べておこうかな。



「そば処 よってっ亭」でソバをよばれました。
写真は「冷やしおろしソバ定食・大盛り(880円)」。
かやくご飯と小皿とお漬物つきです。



見かけによらず量が多く、大食漢の僕でも残してしまいそうでしたが、
気合で食べきりました。げっぷ(失礼)。
ソバにコシがあった…というより、ゆで方が足りないんじゃないの?
お腹も冷えたし…ううう(涙)。


ここにもバイクが20台ばかり停まって、それぞれくつろいでおられました。
やっぱり僕のほうをヘンな目で見てるよ〜!!

おれも普段は大型バイク乗りなんよー!仲間なんやでー!とPRしてみようとしたのですが、
そんなもの彼らに通じるわけがありません。さらに変態と思われてるだけです(笑)。



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その場もとっとと立ち去って(さみしいなぁ、おれ)、行くど目指せ日本海!



名田庄村〜小浜市のR27までのR162は
福井県Kも出張しないのか、一度も網を掛けてるのを見たことがありません。
天下泰平、無防備モード全開です。これだけ全開走行を続けてるのにLEADのエンジンはちっとも音を上げません。

大変優秀です。このままの調子で家まで走ってくれたら、なでなでしてやるからな(笑)。




この区間も過疎化が著しく、書くネタがありませ…いや、あった。
先日のオフ会ではこの辺が土砂崩れで通行止めになってたはず。今は解除になっているのですが片側交互通行と予告がありました。


その場所を通過。土砂が崩れたせいでしょうか、ガードレールがありえない形に曲がっていました。
こわ〜。

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そして、小浜市のR27交差点に到着。まだ12時半を過ぎたところです。




走行距離106km、所要時間3時間はやっぱり速すぎじゃないのか??
オフ会ではここから東に走ったので、今度は西へ向かってみようと思いました。
どのくらい距離があるかなど、全く考えていません。原チャで来てる事すら忘れてるのかも(笑)。


それはそうと、美山牛乳を過ぎてから、バイクの集団とほとんどすれ違わなかったし追い抜かれもしなかったのですが、
彼らはどこに消えたのでしょうか?謎は残る。



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