総延長60kmの専用車線




全国各地の走りやすい道路から、バイクだけが締め出されるなど寂しい現実がある中、
バイクが優遇されている数少ない新たな事例を紹介したいと思います。



ちょっと復習。
交通標識において、「バイク専用道路」という標識だけが存在しないため、
しまなみ海道の125cc未満のバイクのみ通行可能な専用道路では、ややこしい標識が登場したり、
バス専用レーンは実は原付も走行できるアドバンテージを取り上げました。
また、広い路肩をバイク専用車線として活用しているのも紹介いたしました。




他にも、裏を返せばバイクは通行できる標識があります。


たとえばこれ→


正式名称は、二輪の自動車以外の自動車通行止め
僕の住む京都市山科区では通学路などで見かけられます。


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そして、今回取り上げるのは、こちら→  


上記のような、除外された結果としてバイクがOK…ではなく、
バイクそのものをズバリ認めている唯一の標識
です。



「専用通行帯」というもので、これはバイク専用車線を表したもの。




何とこの標識、公安委員会が発行している「交通の教則」のテキストには載っていません(驚)。
それどころか、生でこの標識を見たことがある方、ほとんど居ないと思います。


それは、この標識自体がとても珍しい物だからです。

僕はバイクの国・京都市民であり、バイクがあって当たり前の生活を送っているからこそ
「二段停止線」のようにバイク優先社会を当たり前のように思っていましたし、
この標識だって生活に溶け込んでいました。

裏を返せば、この標識が掲示されるということは、それだけバイクの通行量が多いということでしょう。


しかしながら、この標識が適用されている地域を知って驚きました。

 

バイク専用通行帯

  路線数

路線

併用距離
埼玉県 国道463号(所沢IC付近) 5.13km
東京都 国道4号(日光街道) 9.7km
国道6号(水戸街道)
国道17号(中山道)
富山県 県道2号(魚津生地入善線) 0.95km
京都府 国道1号〜9号(五条通) 2.9km
兵庫県 12 国道43号など 40.1km


なんと、全国1都1府3県、総延長でわずか60km弱しかないんです!!



と、いうわけで、我らの京都市内にあるバイク専用区間を撮影してきましたので、
世界中の「49のソコヂカラ」ファンの皆さんにお披露目したいと思います。



通勤快速バイクはどれや?で取り上げたとおり、
京都市内の朝の幹線道路はバイクだらけです。





国道1号線〜9号線、通称:五条通を西に行く僕の目線でお届けします。




僕の通勤ルートである五条通の一部区間
片側4車線ある最も左よりの1車線が、朝の7時〜9時の間
つまり通勤通学時間帯のたった2時間だけバイク専用、バイク天国の車線となります。



こんなに短時間では、この存在、京都市民であっても知らない方が多いに違いありません orz



京都盆地の東の端、東山五条交差点に第一の「バイク専用車線」の標識が現れ、
バイク専用区間が始まります。
しかし!!次の大和大路五条(やまとおおじ ごじょう)交差点手前でこの標識!!

バイク専用レーンが左折専用レーンに化け
いきなり専用レーンが途切れますorz
しかも、時間待ちをしているトラックやダンプが
専用レーンで我が物顔で停車
…もとい、駐車

こんなところ走れません(怒)。





その先、鴨川を渡った次の交差点、河原町五条交差点を過ぎると、再び「バイク専用車線」標識が。
京都市内は碁盤の目に通りが走り、交差点が異様に多いのですが、交差点ごとに一番左の車線が左折専用レーンとなる意地悪。


バイクはそんなの無視して堂々と左折専用レーンを直進していましたが、
それがやっと直進と左折のレーンに改められたのは、今年(2010年)の初めです。
長い間気付かれなかったのか、放置プレイだったんですorz


今度は、西洞院五条(にしのとういん ごじょう)交差点(上写真)で
予告無くバイク専用車線である一番左のレーンの存在が消え、

そのまま直進すると、いつの間にか路肩を走っているという恐怖(下写真)。


さらにその目の前の堀川五条交差点の手前で、
路肩も無くなって右隣の車線に強制的に収束させられ、
目前には左折可の標識が!!



もはやムチャクチャ。知らずに走っていると、とっても怖い思いをさせられます。
新手の嫌がらせです、ハイ。




堀川五条交差点を過ぎると、

3度目となる「バイク専用車線」の開始。

その先、JR山陰本線と交差する千本五条交差点付近で、
約2.9kmのバイク専用区間は終了
となります。





もちろん五条通の西行きだけではなく、
東行きもほぼ同じ区間でバイク専用車線が設定
されてます。




バイクはこの車線を走らなくてはいけない訳ではないんです。

それに、大半のバイクは車の流れに混じって走っているので、
このような規制は無意味
だったりします。


一番左の車線は、路線バスも通りますし、先ほども書きましたけど、路駐車両が邪魔で、マトモに走れません。
「路駐レーン」と改名したほうがよさそうな雰囲気です(笑)。


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埼玉県所沢市に在住の方から、地元のバイク専用車線の写真の提供を受けましたので
掲載いたします。

京都のとは違い、路肩をバイク用車線にしているようです。

幅はバイク1台分くらいですね。狭いがな〜。
交差点付近になると、
右写真のように突然専用車線が無くなってしまう恐ろしい仕様(汗)。

京都市のと同様に、二輪車はこの程度の扱いということです(涙)。


※上記でご紹介しています所沢市のバイク専用車線は、2021(令和3)年現在消滅し、
 通常の路肩表示になってしまっていると報告を受けました。
 とても残念です。



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そういうわけで、全国に60kmしかないバイク専用車線を2つをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。



このコラムの取材用に購入したバイク雑誌「Mr.Bike Buyer’s Guide(バイヤーズガイド)」には、
東京都の事例が載っていまして、バイクが秩序良く走っている写真などが掲載されていました。


が、京都市の事例は、形骸化した標識が虚しさを倍増させる結果となりました(涙)。
却ってこんな標識無いほうが良いですわ。



お近くにお住まいの方は、ぜひとも早朝の京都市に走りに来てくださいよ。
そしてバイクの扱いのエエ加減さにキレちゃってくださいな(笑)。




参考資料:「Mr.Bike Buyer’s Guide」 2010年8月号