原付2種の基礎知識
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写真手前から ・グランドアクシス100(最後の2スト) ・スペイシー100 ・LEAD110 ・アドレスV125G ・アドレスV125G ・シグナスX(キャブ仕様) ・シグナスX(FI仕様) |
今回のコラムのテーマは、「原付2種」の基本についてです。
日常的に「原付2種」のバイクを操る者として、実体験を元にあれこれと書いてみようと思います。
さて、運転免許には普通二種や大型二種といった二種免許と呼ばれるものがあります。
二種免許は、有償で人を運ぶ車を運転するのに必要な免許です。
ややこしい書き方ですが、分かりやすく言えば路線バスや観光バス、タクシーの運転がそれに該当します。
結構責任のかかってくる免許なんですね。
乗客を快適にお運びするプロフェッショナルだけが持つことを許される、プレミアム免許と呼んでおきましょうか(笑)。
ただし、二種免許が必要なのは、運賃をもらって乗客を輸送している場合に限ります。
乗客がいないときの運転(回送など)や、無料で乗客を輸送している場合(旅館の送迎など)は二種免許は必要ありません。
一種免許でOKです。
本来のドライバーに代わって車を運転する「代行運転」も二種免許が必要です。
そういうわけで、「原付2種」も「2種」だけあって、有償でバイクでお客さんを運ぶためのプレミアム免…ボカボカッ バタッ むぎゅ〜。
…ではありません。「原付2種」は「二種免許」とは何の関係もありません。
「一緒にするな」とバスやタクシーの運ちゃんに どつかれそうですね、ハイ。
えーと、原付2種は、われらが50ccの原付バイク(←以後「原付1種」)の
すぐ上の兄貴分にあたるバイクたちのことです。
別に姉貴分でもいいんですけど。まぁいいか。
原付2種には「原付」の名が冠されていますが、「原付1種」とはまるで別物のバイクです。
では、どういったところが別物なのか、特徴やメリット、デメリットを紹介します。
これでアナタも知ったかぶり原付2種マニアの仲間入り?(笑)
原付2種の特徴・メリット↓
1:排気量は51cc〜125cc未満です
※おことわり 当コラムでの排気量の表記は、分かりやすくするために法律上の表記とは若干異なる書き方をしていることを ご了解ください。 |
まず、きわめて重要な前提。
ニホン国内を走行する乗り物は2つの法律に縛られますが、その名称が
道路運送車両法における区分 |
道路交通法における区分 |
|
50cc未満 | 原付1種 |
原付 |
51cc〜125cc未満 | 原付2種 |
普通(自動)二輪/自動車(※) |
↑のように、法律によって異なっているので混乱しがちですが、キチンと理解しておいて欲しいポイントです。
(※)道路交通法で言う「自動車」とは、
ナンバープレートのついている乗り物のうち原付1種以外の全ての乗り物を指します(重要)。
運転する上では全て道路交通法に従います。
車両の維持に関しては道路運送車両法がかかわってきます。
例:![]() 上の写真のように、道路標識等で「原付通行禁止」と書かれていた場合。 通行できないのは、道路交通法で言う「原付」、つまり 「原付1種(50cc未満のバイク)」だけです。 ちなみにこの写真は、第二京阪道路の側道(R1バイパス)・寝屋川トンネル入口で撮りました。 何の予告も無くひょっこりと標識が現れますので、原付1種で通行される方はご注意ください。 ![]() |
2:原付1種にある、3つの大きな制約
(二段階右折、法定速度30km/h、左端車線限定)から解放されます
これが原付二種をすすめる理由です。
二段階右折は不要 | ですし、 |
法定速度も車と同じ60km/h | です。 |
原付1種は、走行レーンが左端の1車線に限定されていますが、
原付2種は、 | どのレーンを走ってもOK | です。 |
法律上、一般道(※高速道路、自動車専用道以外の道路)における原付2種以上のバイクは車と同格扱いであるため、
車と肩を並べて普通に走れます。
3:エンジンのパワーにゆとりがあります
原付1種はしょせん50cc。街中をトコトコ走るのには十分ですが、
流れの速い幹線道路ではエンジン全開でもついていけないこともありますし、上り坂ではモタつくことも普通です。
が、原付2種なら、排気量の大きさのおかげでパワーがあり、出足や加速も軽やかです。
どノーマルでも平地で70km/h巡航が可能など、実用的な速度域をカバーしています。
京都←→大阪間(往復100km)などの距離のある移動や、勾配のある峠道も苦になりません。
4:手頃感があります
原付2種の主要車種である125ccスクーターの新車であれば、実勢価格18万〜30万円程度で買えます。
【1】、【2】、【3】のメリットを加味しても安い。
コストパフォーマンスに優れていると思います。
僕の住む京都市内における2014年現在の原付1種と2種の販売価格はこんな感じ↓
ちなみに、我が家のLEAD50は19万9000円ですが、兄貴分のLEAD100は22万9000円と、3万円の差しかありません。
(※↑初出時。現在、LEAD50・100は現行モデルではありません)
5:維持費が安い
125ccスクーターで実用燃費が30〜40km/L程度。
またタイヤやオイルなどの消耗品も比較的安価に手に入るので、バイクの中では最も経済的な部類に入ります。
自賠責保険や任意保険は道路運送車両法での扱いですので
原付1種、原付2種共に「原付」となり、同じ保険料。
軽自動車税は、原付1種が2000円なのに対して、
原付2種は、90cc未満が2000円、125cc未満が2400円と大差ありません。
原付が通行可能な有料道路においても、125cc未満のバイクは一律に「原付」の料金となり、
格安なことがよくあります。
6:コンパクトな車格
利便性を重視した125ccクラスのスクーターや、
スーパーカブ(ホンダ)などのビジネスモデルや実用車の車両サイズは、
原付1種と同じ大きさか1回り大きい程度でおさまっています。
車両重量は、エンジンが大きくなるため少々重くなりますが、慣れの問題と思います。
ちなみにLEAD50とLEAD100は、全長・全幅・全高の3サイズとも全く同じの「双子車」です。
↑のように、ベースが同じで原付1種と原付2種の2モデルある「双子車」は、
50ccのエンジンの内径(ボア)を広げて排気量を上げただけのものも多いです。
7:タンデム(2人乗り)も可能
タンデム(2人乗り)が無条件に禁止されているバイクは原付1種のみです。
ただし、
原付2種であっても、1人乗り用のシート(シングルシート)や
タンデム用のステップとグラブバー(握り棒)が無い場合は2人乗りは不可。
ヤマハのアクシスシリーズ(90・100・トリート)や、
スズキのアドレスシリーズ(V100・110・125G・125S)はタンデムOKですが、
どう見てもシートは1人乗り用の小さいもの。2ケツするには正直辛そうです。
ケツがハミ出すぞ(笑)。
8:セカンドバイクに最適
僕のように大型(大柄)のバイクを持ってる方ならよく分かると思うのですが、
これらのデカいバイクは実用性がまるでありません。
そこでセカンドカーならぬセカンドバイクとして原付2種を持ってる方は結構おられます。
TPOにあわせて使い分けるとバイク利用の「死角」が無くなり、快適なバイクライフを送れます。
任意保険も「ファミリーバイク特約」を使うと、安く上げられるのが大きいポイントです。
僕は母親のLEAD50(※初出時。現在はシグナスX)を勝手にセカンドバイク化してますけど(笑)。
9:フロントフェンダーをなぞるように、白いシールが貼られ、リアには△マークが
付けられています。
(↑「大阪モーターサイクルショー2017」出展車両より)
これらは二輪車メーカーが自主的につけているものであり、法的な根拠はありません。無くても大丈夫。
【6】で出てきた双子車をパッと見分けるのには便利かな、ぐらいのモノです。
↓これらのシールはバイク用品店で売ってますし、白のビニールテープ等で自作してもOKです。
10:90cc未満は黄色いナンバー、125cc未満はピンクのナンバーが付けられます。
ピンクはほとんどのバイクにマッチせず、目立って恥ずかしいだけと感じるのは僕だけでしょうか(笑)。
原付2種のデメリットはというと…↓
1:最低でも「普通二輪・小型AT限定免許」が必要
「原付」とついているので、勘違いを起こしそうですが、
運転はあくまでも道路交通法に準じますので、原付免許では運転できません。
原付免許で運転できるのは、原付1種(50cc未満のバイク)だけです。
つまり、125ccのスクーターに乗りたいだけでも教習所に通わなければならないわけで、
免許取得にはカネも時間もかかります。
ちなみに原付2種のAT限定を取得したい場合、
普通免許持ちで最速4日、3万4500円〜(税別/京都市内の教習所の例)でOKです。
↑京都の教習所における二輪の教習料金は激安ですので、あまり参考にならないかもしれませんが…。
原付免許や普通免許だけで原付2種に乗ると 無免許運転になりますよ〜。 |
2:車種に偏りがある
原付2種の致命傷といえるでしょう。
国内モデルの原付2種の大多数がスクーターと、カブなどのビジネスバイクの現実。
両者ともATなので、もはやこのカテゴリは「日常の足」レベルが定位置になっています。
「それでいい」と おっしゃる方にとっては天国みたいなカテゴリになりますね(笑)。
(※)2013年にホンダが今までとは方向性の異なる「遊べる原付2種」(CBR125R、グロムなど)を出してきましたので、
各メーカーの今後の出方に期待しています。
原付2種のヒット作は、台湾仕様で生産されていたマジェスティ125(ヤマハ)、
現行モデルなら、PCX125(ホンダ)でしょうか。
(※)台湾製のスクーターなどは国産バイクとは違った雰囲気を持ち、結構人気があります。
また、国内メーカーが東南アジア等で生産している125ccのバイクにはMT車が多数あり、
ニホン国内でも輸入バイクディーラー等から購入できます。
3:中古市場があまり存在しない
原付1種の中古はものすごくたくさん見かけるのに、原付2種の中古は数がグッと少なくなります。
程度の良いものなどは、あんまり出会いませんね。
なぜなら、特に125ccクラスのバイク(特にスクーター)は使い勝手が非常に良いため、
一度手に入れると手放さないんですよね。
ですので、これから買うという方は新車で購入し、長くお付き合いすることを強くお勧めします。
そのほうがトータルコストも安くつきますし。
さらに年に1回バイク屋さんで定期的に点検を受け、消耗品を適切に交換するとさらに長持ちしますよ。
(これはどんな乗り物にでも言えることですが…)
4:黄色やピンクのナンバーの意味を理解していない一部の車から
原付1種と勘違いされて、ちょっかいをかけられる
コンパクトな車体が仇になってしまう典型例ですね。
50ccクラスの車体に125ccのエンジンを載せているアドレスV125シリーズ(スズキ)は、僕でも50ccと見間違えることがありますわ…。
もし煽られたら、アクセルをいっぱい開けて強烈な加速をお見舞いし、
原付1種との違いを存分に見せつけましょう(笑)。
毎朝の通勤時には、原付2種スクーターを多数見かけます。
日本の都市部の混雑した道路事情を考えると、
小回りも利くし、快速な原付2種スクーターはNo1の乗り物ですね。
分かる人は分かるこの魅力。
AT二輪免許制度で、原付2種にさらに光が当たるのでは…と思っています。
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