男カワサキ空冷四発




国内にはバイクメーカーが4つありますよね。



ホンダのバイクは、まず僕が乗ってますし、カフェカブとか白バイで取り上げました。
可も無く不可もなくといったバイクを作る、バイク版「○ヨタ」みたいなメーカーだと思います。


ヤマハのバイクは、我が家の現在の「原付」ですし、ヒネクレものの右側ミラーや、四輪のバイクなど
ピントのずれた取り上げ方をしてますが、優れたデザインと独自のこだわりでバイク界を引っ張っています。


スズキのバイクは、チョイノリで大々的に取り上げてますやん。
常に新しいことにチャレンジし、時に利益度外視の大冒険
をする、面白いメーカーです。


残りのひとつは…?コラムを読み返しても、どこにもそのメーカーのバイクが出てへんやん。




その名は、カワサキ

神戸に自社の博物館がある、川崎重工。
世界に数あるバイクメーカーの中において、陸海空を制覇している、(多分)唯一のメーカーです。



新幹線作ってるでしょ、
作ってるでしょ、
飛行機作ってるでしょ。



大きなものばかり作っている印象がある「重工」にありながら、
バイクやジェットスキーなども作ってます。
工業製品にポリシーがありそう。




そんな「カワサキのバイクの印象」を聞かれたら、なんと答えます?




僕なら「バイクの中のバイク」と答えますね。

職人肌というのか、番長というのか、硬派というのか、ニンジャというのか(笑)…。
軟派なヤローには近寄りがたい、オトコらしさが漂うのです。



ラインナップも、流行に流されることがない。

現在、カワサキの125cc未満のバイクはKLX125D−トラッカー125のみですし、
スクーターなんて作る気配など全くない。

「イプシロン」という250ccのスクーターがあるやんと言う声がありそうですが、
アレはスズキのスカイウェイブをカワサキブランドで出してるだけで、カワサキ製じゃない。



すごいコダワリを感じるがな!


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1980年代、鈴鹿8耐などバイクレースの影響で、レーサーのレプリカバイク(以後「レプリカ」)が大ブレイク。
街中をハイパワーのレプリカが席巻し、峠という峠がレーサーまがいのバイクで埋め尽くされていた…。


そこへカワサキが投入してきたのです。
ゼファー(ZEPHYR)
。デビューは1989(平成元)年。



速いイメージのフルカウルをまとったボディにハイパワーエンジンのレプリカ対して、
ゼファーが取ったのは懐古主義
一昔前に流行したボディに、ヘッドライトは丸目1灯。エンジンは空冷4気筒400cc・46馬力(PS)。



丸目2灯がまぶしく、水冷4気筒400ccで59PSが普通だった時代に、
こんな時代錯誤なバイクが売れるはずがないと各メディアでは酷評だったと聞いています。




ところが、すごい売れ行きだったんですね。


レプリカ一辺倒に飽きたバイク乗りが殺到したんですよ。ユーザーが求めていたのは、速さではなかった。

これにより、バイクの主流がレプリカ→ネイキッドへ取って代わり、
ホンダのCB−SFシリーズや、ヤマハのXJRシリーズの台頭などの
1990年代のネイキッドブームへと繋がっていったことは、バイク歴が長い方ならご存知かと思います。




カワサキのバイク名には「Z」がつくものが多いのも特徴。
ゼファーはもちろん、ZZR、ZXR、GPz、Z650をはじめとする「Z○○○」(○は排気量)シリーズ…。

などから、カワサキ車には稲妻を連想させる鋭いイメージもあります。

ロゴマークの「Z」だけデカい矢沢永吉が乗ったら似合うかも(笑)。




コラムのタイトルコール、「男カワサキ空冷四発」は、
武骨なデザインに空冷の4気筒のエンジンを載せたそれが、
カワサキの代名詞みたいなもの
なんですね。

バイク乗りのみならず、バイク乗りではない方でも聞いたことがあるかもしれません。



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カワサキは2008(平成20)年、時流に逆らって突然レプリカ系のバイクを世の中に送り出してきました。
それは、Ninja250R



GPzから始まった カワサキお得意の愛称「Ninja」を前面に出したバイクは久々ですわ。


ルックスはレプリカブームのZXRをシャープにした感じですが、
エンジンは、レプリカブームのころの回転馬力を搾り出しビシバシ走れる4気筒ではなく、
コスト的にも安くつき、トコトコ感が感じられるツイン(2気筒)なのが惜しいところ。

ですが、
元気のない250ccクラスに一筋の光が差した気がしました。
値段も52万8000円〜と手ごろなため、売れ行きは良いらしいですよ。街中でもよく目にしますもん。


またレプリカブームが再来するのかなぁ。



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…いろいろ書いてきましたが、僕の知ってるカワサキ車の中で、最も「男のバイク」なのは、一にも二にも
1970年代を駆け抜けた、「マッハ」シリーズです。


2サイクル3気筒のエンジンを積んでいて、

排気量の小さい順に
I(250cc)・II(350cc)・III(500cc)・IV(750cc)の4種類がありまして。


どれかひとつを選べと言われるまでもなく、「マッハIII」、

正しくは「500SSマッハIII」が一番だと思います。



音速をあらわすその名に恥じない、絶対的な速さを持っていましたし。
市販のバイクで200km/hが出せたのは、当時では驚くべきことだったらしいです。





僕はマッハがバイク界に君臨していた時代を良く知りませんし。

だいたい、マッハというバイクを知ったのは、
1990年代後半に「少年サンデー」に連載されていた 漫画「うしおと とら」の中の1ストーリーである、
「第二十六章 HIGHSPEED EATER」で だったのですが。


その「マッハ」は漫画のストーリーの脇役だったにも関わらず 詳細に描き込まれ、
当時バイク乗りになってまだしで バイクの世界が広くない僕にとって、こんなすごいバイクがあったのか!と
掛け値なしの驚きを与えたのでした。


でも、そのときですらマッハは遠い過去のバイク。ナマで走っている姿を目にすることは出来ないだろう…と
諦めていました。




ところが。




今は亡き「相棒」と仕事からの帰り道、京都市と大津市を比叡山系で結ぶ難所の峠道「山中越」を走っていると、
後ろから、バラバラバラッと やや重めの2サイクル音を立て、
やたらめったら白煙を吐いて走っているバイク
が接近。

なんやあのバイク?混合気が濃すぎるんやないの?
ヘナチョコの走りを繰り広げている僕はあっという間に追いつかれ、そのまま反対車線から抜かれてしまいましたorz



が、抜かれる瞬間にそのバイクを見た僕は、「うしおと とら」のワンシーンが脳裏をよぎったのです。



白煙を吐く3本出しのマフラー。



年季が入っていてボロい外観ではあったけど、間違いなく、マッハ、それもマッハIIIや、
あれがすごいと驚かされたマッハIIIか!!

もう一度拝ませてくれ!とアクセルをガバッと開けて追いかけるも、
キツい峠道のこと僕の腕では追いつけず、コーナーごとに離され、見えなくなってしまいました。



そのときに、カワサキってオトコやなぁと身震いしましたね。
それ以降、マッハは僕の前には現れていません。


今度出逢ったときには、追いついてやりたい、必ず。